研究課題/領域番号 |
63490014
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小島 祥三 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70027499)
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研究分担者 |
桐谷 滋 東京大学, 医学部, 教授 (90010032)
毛利 俊雄 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (30115951)
正高 信男 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (60192746)
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キーワード | チンパンジ- / ニホンザル / 聴性誘発反応 / 音声知覚 / カテゴリカル知覚 / 半球優位 / 音声発達 |
研究概要 |
聴覚の基得性については、ニホンザルで蝸牛のマイクロ電位(CM)聴神経集合電位(AP)、聴性脳幹反応(ABR)を記録し、それぞれの閾値と行動的に測定された閾値を比較した。とくに6kHzでみられた感度低下の起源に焦点を当てた。その結果その感度低下は、これらの誘発反応全てにみられ、起源は鼓膜一蝸牛有毛細胞の間にあると推定された。 チンパンジ-の母音知覚における正規化を、[o]-[a]の連続体を合成し、男女の母音での境界の移動から検討した。その結果チンパンジ-もヒトと同様に正規化の能力を持ち、話者にかかわらず、ある母音を同一の母音として聴取していることがわかった。チンパンジ-は有声・無声([g]-[k])、調音場所の異なる([b]-[d])破裂子音の対をカテゴリカルに知覚しているとがわかった。 チンパンジ-、ニホンザルで音声知覚の半球優位が、左右の耳に別々に提示される音声の弁別の成績から検討された。チンパンジ-では機能的には異なるが、音響的には類似しているgruntとwhimperの弁別で右耳(左半球)優位の傾向が見られた。ニホンザルのearly high cooとlate high cooの弁別では優位性はみいだされなかった。 ヒトとチンパンジ-の音声発達を比較した。ヒトでは前、後期のなん語があるといわれている。チンパンジ-の発声は自発性に乏しく、単調であった。生後55日前後で発声量が増加し、これはヒトの前期のなん語に対応すると考えられた。しかし、その後発声量は減少、音声言語に結びつく後期のなん語はみられなかった。また母音的な音声では [u]、[o]、[a]が観察されたが、[i]、[e]は発せられなかった。
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