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1990 年度 実績報告書

霊長類の聴覚と音声に関する研究(ヒトの音声言語進化の視点から)

研究課題

研究課題/領域番号 63490014
研究機関京都大学

研究代表者

小嶋 祥三  京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70027499)

研究分担者 桐谷 滋  東京大学, 医学部, 教授 (90010032)
毛利 俊雄  京都大学霊長類研究所, 助手 (30115951)
キーワードチンパンジ- / 音声知覚 / 種特異的音声 / ラテラリティ
研究概要

本年度はチンパンジ-の種特異的音声の知覚を中心に研究を行なった。チンパンジ-の母音的な音声(grunt)は、[u]、[o]、[a]と聴取されるものが主であるが、各々から2つの音声を選び、計6つの音声間の弁別をさせたところ、同じカテゴリ-に属するものは、区別するのに長い反応時間を要し、チンパンジ-にとっても類似していると推定された。
またこれらの母音的音声を線型予測方式による分析にかけて、第1、2ホルマントを同定した。これらの母音では、第2ホルマントはほぼ同じ周波数で、第1ホルマントのみが異なっていた。これらの音声のどの周波数要素が知覚に重要かを検討するために、個々の基音や倍音、その組み合わせ、第1、2ホルマントを、ディジタルフィルタ-で除去しもとの音声と弁別させた。その結果、これら各母音的音声において、第1ホルマントやそれを構成する倍音が重要であることがわかった。これはチンパンジ-に[i]と[u]、[e]と[o]の区別が難しいことと一致する。
さらに、基本周波数が異なるwhimperとsqueakの知覚を検討した。この2つの音声は不快な情動に関係するが、情動の強さにより前者から後者へ連続的に変化する。これらの音声についても、ディジタルフィルタ-により、重要な成分の同定を行なったが、周波数の低い成分、すなわち基音から3倍音程度までが重要であった。これは上記のgruntの結果と一致する。
これらの種特異的音声の弁別を左右の耳で別々に行なわせ、ラテラリティを検討したが、ニホンザルでみられた右耳優位はなかった。この3年間のデ-タをまとめて、ヒトの音声言語進化の道筋を考察した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] KOJIMA,S.: "Comparison of auditory functions in the chimpanzee and human." Folia Primatol.55. 62-72 (1990)

  • [文献書誌] KOJIMA,S.: "聴くlistening:サルの場合。" Brain Medical. 2. 39-47 (1990)

  • [文献書誌] KOJIMA,S.: "男の声・女の声・サルの声。" 言語. 19. 44-51 (1990)

  • [文献書誌] KOJIMA,S.: "Vocalーauditory functions in the chimpanzee:Vowel perception." Int.J.Primatol.10. 199-213 (1989)

  • [文献書誌] KOJIMA,S.: "Vocalーauditory functions of the chimpanzee:Consonant perception." Human Evol.4. 403-416 (1989)

  • [文献書誌] KAMADA,T.: "Auditory evoked potentials in the Japanese monkey." J.Med.Primatol.

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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