1.星をとりまく円盤状ガス雲の中で生れた微惑星の運動を調べた。微惑星の軌道の円盤の中央面からの平均的傾きは、r^<1/8>(rは星からの距離)に比例し、時間tとともにt^<1/4>に比例して増加していくことがわかった。この傾きは微惑星の無秩序運動と関係しているので、これから微惑星同士の衝突頻度を計算することができる。個々の微惑星の衝突回数が小さいときには、時刻tまでの衝突回数はr^<-1>t^<1/2>に比例することがわかった。 2.微惑星同士の衝突の際に飛び散った破片が衝突をくり返すことによって塵の雲が作られたと考えるのが自然である。衝突破砕をくり返す系の粒子の半径aの分布はa^<-3.5>daに比例することが知られている。また、塵の量は微惑星の量と衝突回数の積に比例すると考えるのが自然である。塵の空間分布の広がりは、微惑星の分布の広がりとほぼ同じである。このようにして塵の雲の構造が決まる。 3.このような塵の雲による中心星の光の散乱光の強度分布を調べた。円盤状の塵の雲を真横から見ている場合、散乱光の表面輝度分布は、r^<-35/8>に比例することがわかった。このベキ35/8=4.375は、ほぼ真横から見ているβ Pictorisの塵の雲におけるベキ4.3に非常に近い。 4.中心星からの光によって温められて塵の放射する熱輻射のスペクトルを計算した。その結果は、β Picの遠赤外での色指数をよく再現することがわかった。 これらのことから、塵の雲は微惑星同士の衝突の際飛び散った破片から作られたとするのが、理論的に妥当なだけでなく、観測との整合性も良いことがわかった。
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