太陽以外の星の周りで惑星形成と原子惑星系と思われる星周辺塵雲の起源について研究し、次の成果を得た。 1.惑星形成に関する京都理論を発展させることにより、外惑星、特に海王星が、これまでの理論と違って、太陽系の年齢以内に生まれることを示した。 2.この理論を太陽以外の星に適用することにより、どんな星が惑星系を持つことが出来るかを調べた。星から遠方では惑星形成に長い時間がかかるので、星の寿命以内に惑星が生まれる領域に外端がある。質量の大きい星ほど寿命が短いので、この外端は質量の大きい星ほど星に近い。また星の近くほど温度が高く、固体が存在できず、惑星が生まれない領域がある。質量の大きい星ほど光度が高いので、この領域が広い。このように惑星が生まれうる領域は星の質量が大きいほど狭く、太陽の約10倍よりも重い星は惑星を持つことが出来ない。 3.がか座β星に代表される星周辺塵雲は、原始惑星系ガス雲中の塵が付着成長したものではなく、その中で生まれた微惑星同士の衝突によって作られたことを示した。 がか座β星の塵雲での密度分布については相反する2つの説が唱えられていた。1つはn(r)〓r^<-3>であり、もう1つはn(r)〓r^<-1>である(rは星からの距離)。塵雲による星の光の散乱光の強度を調べることにより、1(ε)〓ε^<-p>(p=3.6-4.3、εは星からの離角)で近似できる塵雲の中央面に沿う輝度分布が、単位体積当りの散乱断面積の分布nσ〓r^<-1>で再現されるためには、塵は我が太陽系の惑星間塵よりもはるかに前方散乱の強いものでなければならないことがわかった。そうでなければ、nσ〓r^<1-p>が輝度分布を再現することが出来、妥当な分布である。
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