今年度は、「晴」のシステム設計及びその評価を終了した。主要な特徴は以下のようである。 (1)CDフロー方式という新実行方式を採用した。本方式はデータフロー方式の利点を生かしつつ、データフロー方式の持つ資源枯渇の問題を解決するという特徴を有する。 (2)プログラムの高速実行のため、仮実行という新方式を採用した。本方式は、プログラム中の分岐等において可能な選択を全て先行実行することによって、実行の高速化を図るものであり、従来のデータフロー方式等に比べてさらに数倍以上の性能を達成できる。 (3)プロセッサ間の情報転送のために、大域共用メモリと通信ネットワークを有する。大域共用メモリはマルチアクセスメモリであり、これによって効率良いデータ共用を可能とする。 (4)プロセッサ間の実行同期をハードウェアで行う。 以上のようにして、1000台以上のプロセッサによる並列実行を可能とすることを「晴」では狙っている。 現在は、方式設計を終了し、ハードウェアの設計を行なっているところである。あわせて、本システムのためのFORTRANコンパイラのアルゴリズムの設計を進めている。 次年度はこれらの結果をもとに、要素プロセッサの試作とFORTRANコンパイラの機能設計を行なう予定である。
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