チュ-リップでは、前年の秋に箱植えし、15℃で3週間発根させた後、1℃で2週間予冷し、-2℃湿潤で長期貯蔵してきたりん茎を10〜11月に取り出して、温室で抑制栽培すると、高い開花率で、比較的品質の良い切花が得られた。栽培温度を15〜25℃で変えてみたところ、温度が低いほど切花品質が良くなった。一方、-2℃で長期乾燥貯蔵したりん茎を用いた場合は、15℃で栽培すると高率で、比較的良品質の切花が得られたが、温室の栽培では低い開花率しか得られず、-2℃乾燥貯蔵前の予冷条件、貯蔵後の栽培条件についてさらに検討を必要とした。また湿潤、乾燥長期貯蔵のいずれでも、品種により低い開花率しか得られないものがあり、この抑制栽培に適した品種を選択する必要性も認められた。 ニホンスイセンの抑制栽培を行うには、花芽分化前の7月上旬から5〜10℃に移して乾燥貯蔵してきたりん茎を取り出し、30℃3週間、次いで25℃に12週間おいて好適条件下で花芽の分化発達を促した後、25℃以下の温度で栽培すれば良いことが分かった。しかし、掘り上げ前に花芽の分化が始まるラッパスイセンでは、この方法がとれず、また花芽分化後のりん茎を低温で長期貯蔵できず、開花を抑制することは出来なかった。 スカシユリの抑制栽培のためには、品種による花芽分化時期の早晩に関わらず、秋にりん茎を入手後、速やかに1℃湿潤で4〜8週間予冷した後、-2〜-4℃に移して湿潤貯蔵すれば良いことが分かった。-4℃貯蔵球は-2℃貯蔵のものに比べ、切花品質は若干良くなったが、発芽がやや遅れるため、9月下旬の植え付けでは栽培温度の低下時期と重なり、開花が著しく遅れるのが問題であった。真夏の高温時の植え付けは、開花率の低下、切花品質の著しい低下がみられるため、避けねばならないことも分かった。
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