研究概要 |
ヒト肺(180gr)を出発材料とし、比活性105units/mgタンパクの高比活性を有し、sodium dodecyl sulfate-polyacrylamide gel electrophoresis(SDS-PAGE)上、均一な本酵素0.3mgが得られた。SDS-PAGEでの分子量は170,000と計算され、クロマトフォカッシング法による等電点は4.8であった。精製酵素のアミノ酸配列をアミノ酸分析機により検索したところ、アミノ基末端からの配列は(NH_2)-X-XーPro-Gly-Leu-Glu-Pro-Gly-X-Phe-Ser-Ala-Arg-Glu-Ala-Gly-Alaと、17個中14個のアミノ酸配列を決定することができた。このアミノ酸配列はすでに報告されているウシ、ウサギ肺、ブタ、ウシ腎由来のアンジオテンシン変換酵素のN末アミノ酸配列と高い相同性を有していたが、ヒト腎由来の同酵素のそれとは異なるものであった。 精製された本酵素を抗原としてBALB/cマウスを感作し、脾細胞を骨髄腫細胞と細胞融合し、8回のクロ-ニングにて細胞株を確立した。BALB/cマウス腹水より硫安分画、ゲルろ過法にて単クロ-ン抗体を精製した。得られた抗体はIgM抗体で、Western blotにて分子量約170,000のアンジオテンシン変換酵素に相当する部位に陽性バンドを認識した。同抗体を用いた蛍光抗体間接法にて、ヒト肺血管内皮細胞、腎糸球体毛細管内皮細胞、尿細管上皮細胞、精巣精細管上皮細胞が染色された。現在、これらの組織間での抗原性の差異を検討中である。
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