研究概要 |
肝障害における肝内マクロファ-ジの役割を明らかにする上で,エンドトキシンにより活性化されたマクロファ-ジの関与をを検討した。前年度では、LPS感受性遺伝子保存マクロファ-ジが肝細胞障害を惹起・増強することを見出した。LPS感受性マクロファ-ジは,LPS刺激により著しく活性化され,PMAetcの刺激によりsuperoxideの産生が著しく亢進を示した。LPS感受性遺伝子欠損マクロファ-ジのsuperoxide産生は,LPS刺激下でも亢進を示さなかった。しかるに,マクロファ-ジの水解酵素産生はLPS感受性遺伝子の有無で差を認めなかった。Superoxideの産生はロイコトルエン阻害剤・Ca^<++>-channel blocker存在下で阻止された。ロイコトルエン阻害剤投与における肝障害防御禦は,浸潤マクロファ-ジからのsuperoxide産生を抑制する為と考えられた。 種々肝障害における単球・多核白血球浸潤メカニズムを明らかにする上で,障害肝細胞は20-25kdと40-50kdの蛋白質を産生することを見出した。この蛋白は常温で安定であり,56℃熱処理・トリプシン処理により不活化した。この蛋白は走化性作用を有すると共に浸潤細胞の活性化を促進することが明らかとなった。 更に,肝細胞障害の際に肝線維化のメカニズムを明らかにした。肝線維化に関与する伊東細胞のコラ-ゲン産生は,活性化マクロファ-ジ存在下で著しく亢進していた。この亢進はsuperoxide dismutaseにより抑制されたことから,活性化マクロファ-ジからのsuperoxideが関与することが明らかとなった。 肝障害に伴う病態に於いて,肝類洞壁細胞間相互作用が重要な役割を果たすことが,本研究から明らかとなった。
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