研究課題/領域番号 |
63570402
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小柳 左門 九州大学, 医学部, 講師 (90128017)
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研究分担者 |
稲生 哲治 九州大学, 医学部, 助手 (10159965)
竹下 彰 九州大学, 医学部, 助教授 (30038814)
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キーワード | 冠血流量 / 冠予備能 / ドプラー血流計 / 肥大心 / 経皮的冠動脈形成術 |
研究概要 |
本研究の目的は、心機能を維持する上で極めて重要な冠血流量とその予備能が病的心においてどのように障害されているかを、カテ先ドプラー血流計を用いて計測することであり、その臨床応用の基礎的検討を行なった。成果は以下の通りである。(1)、動物実験により、カテ先ドプラー血流計が安全かつ信頼性の高い計測方法であることを電磁血流計と比較し確認した。即ちドプラーシフトから求めた血流計と電磁血流計の血流量との間に、良好な一次相関関係(γ=0.98)を認めた。但しカテーテル先端の位置の変化により流速は変化し易く、操作上注意が必要であった。(2)臨床的に冠動脈血流速度および冠予備能の測定を試みた。Millar社製カテ先ドプラー血流計を右冠動脈もしくは左冠動脈枝に選択的に挿入、留置した。冠動脈血流速度を安静時および造影剤もしくはpapaverine投与下に連続記録した。(3)造影剤投与後の最大血流速度は安静時の2.3±0.7倍に増多した。冠血管抵抗は安静時の0.45±0.11に低下した。これらの値は高浸透圧性イオン性造影剤と低浸透圧性非イオン性造影剤との間で差はなかった。しかしイオン性造影剤では反応性充血の時間が55±17秒であり、非イオン性(29±3秒)に比べ長かった。(4)冠スパスムの誘発された患者と誘発されなかった患者との間で、非発作時においては冠血管抵抗に有意差はなく(2.1±0.4vs2.2±0.7)、予備能にも差を認めなかった(1.8±0.2vs2.2±0.6)。(5)臨床応用上、安全度の点で問題はなかった。 今後、肥大心における冠予備能の測定、狭心症患者における経皮的冠動脈形成術前後の冠予備能の変化などを測定する予定である。
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