研究課題/領域番号 |
63570456
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
所 敏治 東京慈恵会医科大学, 小児科, 助手 (40112841)
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研究分担者 |
衛藤 義勝 東京慈恵会医科大学, 小児科, 助教授 (50056909)
伊藤 文之 東京慈恵会医科大学, 小児科, 講師 (10057010)
関口 茂 東京慈恵会医科大学, 小児科, 助手 (90119818)
井田 博幸 東京慈恵会医科大学, 小児科, 助手 (90167255)
梅沢 房代 東京慈恵会医科大学, 小児科, 助手 (50185063)
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キーワード | (1)krabbe病 / (2)サイコシン / (3)脱髄 / (4)培養オリゴデンドロサイト / (5)Twitcherマウス |
研究概要 |
Krabbe病は、garactosylceramidaseの欠損によって生じる脳変性疾患であり、その病因として基質の1つであるサイコシンが重要な役割を演じている。そこでpercoll濃度勾配法によって得られた、オリゴデンドロサイトを培養し、その培養液中にサイユシンを添加し、形態的変化、ミエリン脂質へのアイソトープのとり込みを検討した。サイコシンを3mg/ml以上の濃度で添加すると、オリゴデンドロサイトの突起の融解、変性が認められ、またミエリン脂質への^3H-ガラクトースのとり込みは低下した。しかし、^3H-サイコシンの培養オリゴデンドロサイトへのとり込みは3〜5%にしかすぎず、このサイコシンの作用は主にオリゴデンドロサイト膜を介してのものと考えられた。サイコシンはミエリン脂質には影響を及ぼしていたが、ミエリン蛋白であるMBPやPLPの合成は抑制しなかった。さらに内因性にサイコシンが蓄積するTwitcherマウスからオリゴデンドロサイトを分離培養し、ミエリン特異マーカーであるガラクトセレブロシドのモノクローナル抗体で染色したところ、ミエリン形成に重要な働きをなすところの"tongue"部分が全く出現しないことから、krabbe病の脱髄はこの部分より生じ、次第に変性が細胞体に及び、オリゴデンドロサイトの死滅をきたすと考えられていた。この成因についてはサイコシンがコントロールの約70倍と著明な増加を示すことからkrabbe病の脱髄の成因にはサイコシンが重要な働きをしていることが明らかとなった。今後は以上のように分離したオリゴデンドロサイトをTwitcherマウス脳内に定位脳手術を用いて移植し、その生育状況を形態的にはガラクトセレブロシド抗体染色により、又生化学的にはgaeactosylceramidase活性、サイコシン濃度を測定することにより検討していく予定である。
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