研究課題/領域番号 |
63570461
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
吉川 弓夫 日本大学, 医学部小児科, 講師 (20059463)
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研究分担者 |
稲毛 善四郎 日本大学, 医学部小児科, 助手
三村 明朗 日本大学, 医学部小児科, 助手
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キーワード | 間質性腎炎 / 含硫糖脂質 / 糖脂質分析 / 薄層クロマトグラフィー / 中性糖脂質 / 酸性糖脂質 / Globoside / Sulfatide |
研究概要 |
ヒト腎の糖質分析を行った。定性を目的とした糖脂質の抽出方法は腎臓を皮質と髄質とに分けて冷アセトン中でホモゲナイズし、アセトン乾燥粉末とした後、クロロホルム(C)とメタノール(M)の混合溶媒を用いて糖脂質を抽出し、その粗抽出液をDEAE-Sephadex-A-25により酸性分画と中性分画に分離した。次に精製糖脂質の構造を推定するため、すでに構造が決定できている標準糖脂質との薄層クロマトグラフィー(TLC)上移動度の比較を行った。その結果、腎臓の中性糖脂質はCMH、CDH、CTH、Globosideに分けられた。一方、酸性糖脂質はSulfatide、CDH硫酸、ガングリオシド(GM_3、GD_3、Sialosyl paragloboside、disialosyl paragloboside)から構成されていることが明らかとなった。 次に定量を目的とした抽出操作は、腎組織をホモゲナイズ後、凍結乾燥しC-M-W(20:10:1)(10:20:1)で交互に45℃で抽出を行った。糖脂質の定量は、TLC-デンシトメトリー法によって行った。すなわち中性糖脂質と含硫糖脂質はそれぞれプレート上に、検量線用糖脂質を展開し、オルシノールで発色させ、そのスポットの色をデンシトメトリーで比色した。ガングリオシドについては、標準ガングリオシドのシアル酸をあらかじめ測定しておき、シアル酸を基準に検量線を作製した。 定量の結果は、中性糖脂質のGlobosideが髄質では皮質に比べ約2倍量存在することが明らかとなった。また酸性糖脂質分画のSulfatideが髄質では皮質に比べ約2倍量存在することも分かった。さらに皮質と髄質とに共通してみられる点は負電荷高分子物質として含硫糖脂質がガングリオシド総量より多いことであった。 免疫組織化学的検索ではSulfatideは正常腎組織では主に遠位尿細管、ヘレン脚、集合管に分布していたが、間質性腎炎患者ではそれ以外にさらに糸体体上皮にも分布していることが明らかとなった。
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