研究概要 |
腎炎患病者血清を用いてTLCImmunostainingを行ったところ,酸性糖脂貭分画中のSulfatideに反応する抗体が各種腎炎で築性を示し注目された。さらにFLISAの成績では血清中Ig M Sulfatide抗体が各種腎炎に,Ig A Sulfatide抗体がIg A腎症,紫斑病性腎炎およびTINU症候群に,Ig G Sulfatide抗体がIg A腎症とTINU症候群において高値を示し,これらの抗体価と病勢とは相関した。抗糖脂貭抗体が糸球体組織傷害性を有するか否かは不動だが,他方これらの糖脂貭の糸球体上及細胞内塩加に伴い,糸球体の出現するTリンパ球やマクロファ-ジから放出されるサイトンの影響によって糸球体上皮細胞が傷害される可能性が推測される。以上のような糸球体上皮細胞由来のヘパリン様物貭が減少することが想定される。一方間貭のTリンパ球数は微小変化型を除く全ての腎炎で増加しており,間貭の細胞浸潤や尿細管の変化が糸球体病変と重要な関連を持っていることが知られている。特に糸球体の硬化性病変や半日体形成を伴う巣状分節性糸球体硬化症やIgA腎症では著細な間貭・尿細管の変性がしばしば認められることから,感作Tリンバ球による遅延型過敏反応の関与が想定される。近年,Eロゼット受容体であるCD_2はTリンパ球活性化のAlternotive pothwoyを作動させる機能的レセプタ-でああることが明らかとなった。そこで我々は腎炎患者の未梢血中リンパ球がsulfatide抗原に感作されているか否かを調べるためActive Eーrosette(AER)試験を行った。その結果,AgーERFC/ERFC (early rosette forming T cell)比はIg A腎症と紫斑病性腎炎だ正常コントロ-ルに比較して有意な高値を示すことが分った。また巣状分節性糸球体硬化症でも高値を示す傾向が認められた。これらの所見は原発性糸球体腎炎に合併する間貭性腎炎の病態にはSulfatide抗原が関与していることを示唆している。
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