一側肺全摘特後、SF_6ガスを遺残腔内に注入し対側垂の過膨張を防止し、呼吸機能上良好な結果を得ている。しかし、肺葉切除後の残存肺の過膨張と胸郭の縮小が呼吸機能に与える影響は明かでない。そこで肺葉切除後に肺切除後遺残腔にバル-ンを充填し、結合性被膜を形成した段階でSF_6を注入し(1)葉切群、(2)バル-ン抜去後方置する群、(3)除去後SF_6で管理する群にわけて解討をする計画を立てた。先ず、右肺下葉切除を行い、切除肺容積に相当するガスで膨らませた人工材料バル-ンを肺切除後遺残腔に充填する為、先ず手術用手袋に空気を注入し、遺残腔に留置し経過を観察したが、数周間で空気が吸収されてしまう為、遺残腔に留置し経過を観察したが、数週間で空気が吸収されてしまう為、遺残腔を保つことが不可能であった。そこで手術用手袋にSF_6ガスを注入し、遺残腔に留置する試みを行った。しかし、SF_6ガスは窒素を吸収し膨張するため、過膨張の為手袋の破裂をまねき、ガスの注入量をコントロ-ルすることが困難であった。破裂しない程度にやや少な目にSF_6ガスを手袋内に注入し、遺残腔に留置して1〜3カ月経過後犠牲死させて遺残腔を観察したが、結合織の形成はなく、又癒着も認めなかった。次に、手袋を留置する群は長期間かかるため、下葉のみ手袋留置群とし、上葉切徐した群は胸腔をマ-レックスメッシュにて隔壁して遺残腔の作成を行った。メッシュにて隔壁された群は1〜2カ月目にて透視下に観察するも遺残腔は残存しており、短期の作成には有効であると思われた。又、手袋を挿入した群では12カ月後に犠牲死させて観察すると遺残腔に完全な結合織が出来上がっていた。この様に、初期の目的は達成したが局所肺機能の測定に困難が多く、残存肺機能の測定には、新しい工夫が必要習ある。その一つとして換気血流シンチがあるが動物実験には使用できない情況である。
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