研究課題/領域番号 |
63570771
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堤 治 東京大学, 医学部附属病院・産婦人科, 助手 (60134574)
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研究分担者 |
綾部 琢哉 東京大学, 医学部附属病院・産婦人科, 助手 (50184247)
矢野 哲 東京大学, 医学部附属病院・産婦人科, 助手 (50182390)
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キーワード | 細胞増殖因子 / epidermal growth factor / 配偶子 / 卵子 / 初期胚 / EGF |
研究概要 |
哺乳類の生殖系列維持機構における細胞増殖因子の生理的役割を解明するために、各種測定法・解析法の開発を含め以下の成果を得た。 1.哺乳動物卵子は直径0.1mm程度、重量も数十ngと微小で生化学的分析は困難であったが、増幅定量法であるサイクリング法を用い卵子一個の各種酵素活性、代謝物量の測定を可能にした。解糖系のhexokinase活性測定により、ヒトを含めた哺乳動物卵子はhexokinase活性が低く、ブドウ糖の利用効率が悪いことを明らかにした。またブドウ糖のアナログにアイソト-プで標識し、卵子のブドウ糖取り込み系も未熟なことを明らかにした。 2.未成熟卵や受精卵の培養液に細胞増殖因子特にepidermal growth factor(EGF)を添加し、卵の成熟や発育分化を検索した。その指標としては形態変化とともに上記糖代謝能の変化を利用した。その結果、卵の成熟および2細胞胚が4細胞胚へと卵割分化する時に、EGFは促進的に作用することが明らかとなった。 3.子宮内膜症患者より得た腹腔内貯留液(腹水)を卵の培養液に添加すると、卵の発育が抑制することを認め、ヒト子宮内膜症患者の不妊原因は何らかの液性因子が関与することを示唆した。 4.卵の細胞内に電極を刺入し、電位変化を測定することに成功した。卵の成熟に伴い細胞質内のカルシウム遊離機構が発達することを明らかにした。これを用い、増殖因子が卵にどのような機序で作用するかを分子レベルで解明することが可能となった。 5.初期胚において、EGFリセプタ-が存在することを標識EGFを用いたbinding assayで証明し、EGFの作用機構がリセプタ-を介したものであることを示唆した。
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