研究課題/領域番号 |
63570812
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
島 哲也 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (30206156)
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研究分担者 |
昇 卓夫 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (40094164)
大山 勝 鹿児島大学, 医学部, 教授 (70024677)
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キーワード | 培養繊毛細胞 / 15ーHETE / 12ーHETE / 血管内皮障害 / NdーYAGレ-ザ- / 鼻茸切除術 |
研究概要 |
1、鼻茸の各種構成細胞の培養系の確立という目標において、鼻茸および鼻茸様の病的変化を生じた上顎洞粘膜由来の繊毛細胞の培養系を確立した。この細胞の ^<14>Cーアラキドン酸の代謝を簿層クロマトグラフィ-法とラジオクロマトスキャン法を用いて検索したところ、15ーHPETE、15ーHETEを産生する15ーリポキシゲナ-ゼおよび12ーHPETE、12ーHETEを産生する12ーリポキシゲナ-ゼ両者の酵素活性が優位であることが判明した。鼻茸をはじめ病的鼻粘膜からは15ーHETEあるいは12ーHETEが優位に検出され、また、その産生能も高いことは前年度までの研究にて明らかなっていたが、今回、繊毛細胞の培養系を確立したことにより、その酵素活性を有する部位として繊毛上皮の可能性が有力と考えうる成果が得られた。これまでのところ、鼻茸中のアラキドン酸代謝物は白血球などの遊走細胞が産生すると思われていた。しかし、鼻粘膜繊毛上皮自体がアラキドン酸代謝物を産生し、なかでも血管内皮細胞障害を起こす15ーHPETE、12ーHPETEの産生能が優位に認められたことは、これらの代謝物が血管内皮間隙を拡大し、血管外への血漿成分などの漏出を促進することで、鼻茸の特徴である浮腫状の粘膜変化を生じさせると思われる。鼻茸成因に新たなセオリ-を与えるものと思われる。 2、鼻茸の治療に、NdーYAGレ-ザ-を応用するに当たり、NdーYAGレ-ザ-のアラキドン酸代謝に及ぼす影響を検討したところ、15ーHETE、12ーHETEの変動は殆ど認められず、PGE_2、5ーHETEの変動も軽微でレ-ザ-照射後8日目には照射前のレベルまで回復することが判明した。レ-ザ-のアラキドン酸代謝への影響はほとんど認められないことが確認されたことを踏まえ、鼻茸の切除にNdーYAGレ-ザ-を用いたところ、術後の治療成績の向上が得られた。
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