1.Fe_3Al合金:(110)方位をもつ236原子%Al-Fe合金単結晶から切り出した試料を1000KV電子顕微鏡によって考察した。570℃、7日間の焼鈍によって不規則相(α)とβ2型規則相に相分離した二相状態のローレンツ像において特異な明暗のコントロストが観察され、規則格子反射を用いた暗視野像との比較から、それが相境界に固着した磁気的なコントラストであることが確認された。同様のコントラストは540℃の焼鈍によって得られたα相とDO_3型規則相の二相状態においても観察された。180℃あるいは90℃の磁壁像についての子細な観察と合わせて考察した結果、α相と規則相の飽和磁化の大きさの違いのために、α相領域での磁化が規則相領域での磁化に対して10〜20°傾き、二相の境界面での磁化の法線成分を連続にさせるというモデルで、相境界に現れる磁気コントラストを説明することができた。また、この種のコントラストは規則相と共存するα相のサイズが250〓度に小さい場合でも観察された。 2.1、2原子%Fe-Co合金:この合金は熱処理によって磁気異方性の異なる六方稠密構造(hcp)と二重六方稠密構造(dhcp)の二相状態を呈し、かつ、多量の積層欠陥を含む。ローレンツ像により、hcp領域の六方軸に平行な磁壁がdhcp相との界面に近づくにつれて広がってワイングラス状の磁壁となり、dhcp領域中の弓状の磁壁とつながることがわかった。また、ローレンツ像ではhcp領域内の積層欠陥のコントラストが弯曲して観察される。その弯曲は六方軸に直角な方向に磁化成分が存在することによるものである。電子顕微鏡像でその弯曲を測定することにより、hcp/dhcp界面付近での磁化分布モデルを提唱した。
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