研究概要 |
1.1.2原子%Fe-Co合金:前年度に引き続き、hcp相とdhcp相の界面に現れるワイングラス状及び弓形磁壁付近の磁化のゆらぎをロ-レンツ像で観測される積層欠陥のコントラストの湾曲を測定することによって解析し、界面付近での磁化分布を明らかにした。その他、界面付近で現れるスパイク磁区、dhcp相内に現れる特異な磁区等についても同様の解析を行い、界面をはさむhcp相及びdhcp相内の磁化分布の全容を解明した。 2.Fe-Si-Al合金の磁区構造:センダスト合金に近い組成をもつFe-Si-Al合金(10.2原子%Si、7.7原子%Al)は、1200℃から急冷すると、β2母相中に微細なDO_3相が島状に存在する二相状態が得られるが、1200℃から毎時5℃の速度で徐冷すると、β2相がDO_3相に転移すると同時にDO_3相の中に不規則α相が縞状に現れ、二相分離の縞状組織を呈する。ロ-レンツ像では、磁区内にも縞状の磁気コントラストが明瞭に観察され、それが縞状の結晶組織に固着していることが確かめられた。二相状態にあるFe_3Alの場合と同様にα相とDO_3相の磁化の大きさに差があると考えてこの磁気コントラストを説明することができた。また、この合金では徐冷試料の最大透磁率、保磁力などの軟磁性特性が急冷試料に比べて悪くなるという結果が得られ,その原因が上述の結晶組織に密接に関係していると結論された。 3.Fe_3差Pt合金の磁区構造:規則化処理を施した試料のロ-レンツ像には磁区内に筋状の磁気コントラストが観察され、磁化が周期的に揺らいだ磁気リップル構造が存在することがわかった。その周期は約500Åと測定され、これが中性子小角散乱の測定により予測された静的な磁化のゆらぎに対応することが結論された。
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