研究概要 |
スタディエリアとして、昭和57年豪雨で土石流が頻発した長崎市と、昭和63年九州中部豪雨で土石流が発生した島原・熊本を取上げ。以下の研究成果を得た。 (1)長崎市東部を対象に、1984年5月のランドサットTMデータを用いたメッシュデータを作成し、二値分類により、土石流発生地点と同じ反射率(平均値±閥値×標準偏差)をもつ土石流発生危険ゾーニングを行った。 (2)長崎市及びその周辺13流域に解析対象範囲を拡大し、まず要因分析のため、数量化理論II類を適用した。採用した特性要因は、「長崎市渓流概況一覧表」から、流域面積他9要因を抽出し、流域面積(レンジ値2.34)、粒度(1.31)、川幅(0.80)の順に危険度評価への寄与度が高いこと、渓床平均勾配(0.22)、他被状況(0.47)は寄与度が低いことを明らかにした。 (3)同一サンプル、要因を用いて各要因の危険度評価への寄与度を考慮した数量化理論III類による「重み付き危険度評価法」を適用し、従来法(的中率72%)より精度の高い(的中率83%)土石流発生危険度水準マップを作成した。 (4)過去の被災歴と降雨資料を収集整理し、(3)で求めた危険度に基づき、個々の渓流毎の土石流発生雨量基準(Rcr=K(di)・ar_m^<-0>(a=23,000,b=1.05)を設定した。 (5)建設省九州地方建設局北部レーダーと現有パーソナルコンピューターとのオンライン化及びレーダー雨量情報を解析するための支援システムの中核をなす画像処理システムIMPACTを作成した。 (6)本システムを、昭和63年九州中部豪雨で土石流が発生した島原・熊本に適用し、個々の渓流毎の累加雨量基準設定により、流域の集中管理方式による本システムの土石流発生予測手法として有効性を検証した。また、昭和63年九州中部豪雨では、土石流発生が地質と累加雨量によりほぼ規定されていることを明らかにした。
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