研究課題/領域番号 |
63850016
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
山口 一郎 理化学研究所, 光工学研究室, 主任研究員 (70087443)
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研究分担者 |
中楯 末三 理化学研究所, 光工学研究室, 研究員 (10124372)
古川 猛夫 理化学研究所, 生体高分子物理研究室, 研究員 (90087411)
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キーワード | 非接触歪計測 / レーザー・スペックル / 干渉計測 / 相関解析 / レーザー計測 |
研究概要 |
本研究の目的は、研究代表者の発明したレーザー・スペックル歪計の機能性、特に測定の安定性と精度を向上させ、実用化をはかることにある。まず光源としての従来のHeーNeレーザー(出力5mW)の代わりに、同出力の半導体レーザーを使い、イメージ・センサーをピッチ(15μm)と素子数(1024)が同じで、幅が300μmの高感度形のものに代えた。半導体レーザーには特有の波長変動および非点収差の影響が心配されたが、測定結果はHeーNeレーザーと何か変わらなかった。これにより装置の大幅な小型化と信号雑音比の向上が達成された。次にスペックル移動の検出を確実にするため、高速度相関計を製作した。これは以前に使っていた空間フィルター検出器ではスペックルの変形効果のために一定の確率で移動が検出できなくなる欠点を解決するためである。手持ちの相関計では、イメージ・センサーの常に一つ前のフレームを参照信号として相関ピークを検出するため、物体の変形が遅い場合にはスペックル移動を検出できない難点があった。しかし新たに参照信号を常に入れ替えることをせず相関ピークが一定以下に低下した時にだけ入れ替える方式を採用したため、その欠点が完全に取り除かれた。また演算時間も従来の相関計の1/300秒から1/2000秒に短縮できた。これらの新しいシステムを使い、高分子フィルムの引っ張り歪を測定し、良好な安定性と精度が得られた。歪感度は20マイクロストレイン(2×10^<-5>)程度である。2直交方向の歪を同時に測定して、材料のポアソン比も容易に得られた。これにより表面に対して完全に非接触で直接的に表面の歪を100Hz以下では安定に測定できることが立証された。 今後は、半導体レーザーのパルス変調による高速歪の測定と高温歪(500℃以上)の測定を試みる予定である。
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