研究課題
新国産免疫抑制剤である、15ーdeoxyspergualin(DSG)とFK506の臨床応用を目指した本研究の今年度の研究実績を報告する。免疫抑制機序:1.カニクイザルリンパ球に対しDSGは、ConA誘導ILー2産生能、ILー2レセプタ-発現能を抑制せず、ConA誘導幼若化反応を増強した(寺尾寿治)。2DSGはinvitroのヒトリンパ球混合培養反応を抑制するが、PHAやOKT3幼若化反応は抑制しない。しかし、FK506とシクロスポリン(CYA)は全反応を抑制する(園田孝夫)。臓器移植における免疫抑制効果:1.カニクイザル腎移植においてDSGは有効であった。副作用として可逆性の消化器障害症状と皮膚炎様症状を示した(深尾立、岩崎洋治)。2.イヌ腎移植において、少量のCYA連日投与とDSG術後4週間併用は有効であった(深尾立、岩崎洋治、藤井敬二)。3.ブタ肝移植において、DSGは肝毒性がなく、予後も良好であった(土肥雪彦)。4.FK506とCYAはイヌ腎移植において併用効果があった。またFK506とラパマイシンも、ラット心移植とイヌ腎移植において併用効果があった(落合武徳)。5.ラット同種皮膚移植において、DSGとCYA又はステロイドとの併用効果があった(藤井敬二)。腎移植臨床における効果:1.DSGは急性拒絶反応寛解効果があることが示唆された(雨宮浩、園田孝夫、深尾立、岩崎洋治)。特にステロイドとの併用が有効であった(雨宮浩)。2.FK506の予防的投与は有効であることが示唆された(園田孝夫、深尾立、岩崎洋治)。3年間の研究結果から、DSGおよびFK506の臨床応用は充分可能であり、かつ有効であることが予想された。
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