研究課題/領域番号 |
63870104
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡田 善雄 大阪大学, 細胞工学センター, 教授 (30029756)
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研究分担者 |
中西 真人 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (10172355)
三浦 直行 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (40165965)
生田 房弘 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20018592)
糸魚川 直祐 大阪大学, 人間科学部, 教授 (90027962)
上田 重晴 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (90068453)
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キーワード | SSPE細胞 / リポソ-ム / ジフテリア毒素フラグメントA / ミオクロ-ヌス / ハムスタ- |
研究概要 |
死亡した患児脳から得られた感染材料をヒト胎児肺初代細胞に移すことでSSPE細胞が継代培養されている。150PFUの培養SSPE細胞をハムスタ-脳内に直接注入すると、数日でミオクロ-ヌスを起こして発症し約2週間で死亡するという条件設定を確立した。発症及び致死率は一致し、その効率は80%である。 この条件下でジフテリア毒素フラグメントAを封印したリポソ-ムをSSPE細胞注入後3日目から、ハムスタ-脳内に直接注入して治療効果の観察がくり返された。或る場合には良い治療結果が得られたが、再現性に問題があり、その有効性を確実に示すまでにはいたらなかった。 このリポソ-ムによる培養系での見事なSSPE細胞だけの選択致死を脳内で再現させる事のむつかしさの理由の大きなものとして、シャ-レの中では、培養SSPE細胞とリポソ-ムが長期間接触し得るが、脳内では極めて短時間しか接触できない事が考えられた。脳内に注入したリポソ-ムは20分も経つと脳内から消えてしまう事が確かめられたからである。 このため、ハムスタ-の脳の体積よりも大きい量のリポソ-ム液をゆっくりハムスタ-脳内に注入することでSSPE細胞とリポソ-ムの接触時間を長くする工夫が行われた。SSPE細胞注入後3日目から3日間毎日一回約2ml のリポソ-ム液をハムスタ-脳内に点滴する試みが行われた。その中の一匹が第3回目のリポソ-ム注入時に発症していたがこの治療により2週間後完全に回復することを観察した。まだこの再現性を確かめる必要があるが、ひょっとすると、治療できるのではないかと喜んでいるところである。もし再現性があれば、世界ではじめての理想的な治療に発展できる余地が充分ある。
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