公募研究
光子電子スピン変換系は量子中継器への応用だけでなく、異種量子ビット間の変換やもつれの研究を行う舞台として魅力的である。本研究では、単一光子偏光から単一電子スピンへと量子状態の転写を行えることの実証と、もつれ光子対から電子スピンと光子偏光との異種量子ビット間のもつれ状態を実現することを目標としている。まず、昨年度得られた光学スピン閉塞効果に関する実験結果において、軽い正孔の励起波長が実験結果では不明確であるという問題があったため、これを解決するために新たなデバイスを作製し、光電子生成効率の励起波長依存性を調べた。その結果、重い正孔と軽い正孔に対応する波長で生成効率がピークとなることがわかった。また、この軽い正孔励起波長が計算結果や基板の発光実験の結果とも一致することもわかった。これにより、当初目的の量子状態転写の実証が行われたこととなる。加えて、分布ブラッグ反射構造をもつGaAs基板から新たなデバイスを作製し、光電子変換効率を測定したところ、従来のものよりも大きな効率が得られた。これは、実験の高速化というだけでなく、将来的な量子中継器への応用にとっても大きな意義を持つ結果である。また、もつれ光子対を用いた実験に関して、昨年度得られた光子と電子の同時検出の兆候をより信頼のあるものにするため、もつれ光子対源から作られた光子の片側を希釈冷凍機中のドットに照射し、生成された光電子ともう片側の光子との同時検出実験を多数回行った。その結果、ドットで電荷が検出された際に、光子検出器側で電荷検出時間内に有限個光子が検出される事象が存在することがわかった。これらの結果から、もつれ光子対から光子と電子の対が生成される事象は、100秒間で3回程度であることがわかった。この結果により、当初目的であった光子対から光子-電子の対を生成する技術確立が達成された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 12件) 備考 (1件)
Journal of Physics: Condensed Matter
巻: 28 ページ: 055801
10.1088/0953-8984/28/5/055801
Applied Physics Letters
巻: 108 ページ: 103106
http://dx.doi.org/10.1063/1.4943642
http://www.meso.t.u-tokyo.ac.jp/
