研究実績の概要 |
今年度は閃亜鉛型構造のIII-V族の半導体のバルクならびに人工超格子のスピン軌道結合係数について, (001)面, (110)面の異なる結晶方位にについてスピン軌道結合係数を定量的に求め, これまで報告されているIII-V族化合物半導体系の実験値とよい一致を示すことを明らかにした。また運動量空間のスピン構造を計算し、より詳細にスピン軌道結合係数の結晶方位依存性・内部電場依存性を明らかにした。以前から継続して研究をおこなってきたウルツ鉱型構造の半導体であるZnOの(10-10)表面の薄膜系においては, 水素終端の効果(表面電場)を明らかにした。ウルツ鉱型の(10-10)面と閃亜鉛型の(110)方向は共に運動量空間においてスピンの緩和時間が長くなる"persistent spin helix"型のスピン構造を示すことを明らかにした。以上に加えて、実空間の非自明なスピン構造であるMeron, Skyrmion等のナノスピン構造を示す系において、巨大な異常ネルンスト効果を示す可能性があることを明らかにした。同様にスピンがノンコリニア秩序をもつパイロクロア型Ir酸化物, スピネル型Ir酸化物について調べ, 電子相関の強さによる金属絶縁体転移ならびに、磁気相図を明らかにした。
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