研究実績の概要 |
これまでにCoFeB/MgO、Fe/MgO、IrMn/MgO等の各トンネル接合においてトンネル異方性磁気抵抗(トンネルAMR)が発現することを見出した。またCoFeB/MgO/Taトンネル接合においてCoFeB/MgOのトンネルAMRを用いたスピントルクダイオード効果の測定にも成功した。(2015年Applied Physics Leters誌に発表) これにより界面スピン軌道トルクを評価できる実験環境が整った。またMgOに埋め込まれたFeナノ粒子においてもトンネルAMRが発現することを見出した。(2016年Journal of Electronic Materials誌に発表) スパッタ法によるCoFeB/MgO/Ta接合よりも、分子線エピタキシー法を用いたFe/MgOエピタキシャル接合の方が耐電圧や電流安定性において優れていることがわかったため、年度の後半ではFe/MgO接合に注力した。Fe/MgO接合においてV/Fe/MgO/Vエピタキシャル成長、トンネルAMRの発現、そしてCoFeB/MgOよりも大きな信号雑音比でのトンネルAMRによるスピントルクダイオード効果を実現した。 Fe/MgO接合におけるスピントルクダイオード効果からFe/MgO接合では4,000,000,000 (1/Vs)もの巨大な界面スピン軌道トルクが存在することを見出した。このトルクの大きさは規格化面積抵抗3 Ωμm2のトンネル接合におけるスピントランスファートルク同等であり非常に大きい。
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