研究領域 | 高次複合光応答分子システムの開拓と学理の構築 |
研究課題/領域番号 |
15H01100
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
田和 圭子 関西学院大学, 理工学部, 教授 (80344109)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | プラズモン共鳴 / アルミニウム / ジアリールエテン / フォトクロミック化合物 / 異性化 / 結晶化 / 顕微鏡 |
研究実績の概要 |
ジアリールエテン(DAE)は紫外光で開環体から閉環体に異性化し、可視光で開環体に戻すことができる光応答性化合物である。このDAE薄膜をガラス基板上に調製し、正倒立顕微鏡のキセノンランプ光の照射によって光異性化を誘起しながら、DAEの形状と吸光度をハロゲンランプ光でin situ計測した。uv光照射によって閉環体に異性化した数時間後、針状結晶が現われた。また可視光照射によって開環体に戻すと、すぐに針状結晶も消失することがわかった。このように分光器を挿入した顕微鏡は、試料を置いたまま照射、分光観察、形状観察が可能な装置となり、DAEの異性化と結晶化を議論するのに有効なツールであることが示された。 次に、アルミニウムプラズモニックチップを作製した。作製したプラズモニックチップでは、波長633nmの光で共鳴が起こることを確認し、さらにuv光でも共鳴が起こることを実験と計算で確認した。このチップ上にDAE薄膜を調製し、uv光照射によるフォトクロミック反応を顕微鏡で追跡した。その結果、ガラス基板上と同様のプロセスを観察することができた。今後、プラズモン共鳴効果が異性化や結晶化に与える影響を調べていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
構築した顕微鏡で、DAE薄膜のフォトクロミック過程のin situ観察ができたこと、ならびにアルミニウムプラズモニックチップが作製できたことは、課題を順調にクリアしてきたことになるため。
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今後の研究の推進方策 |
アルミニウムプラズモニックチップ上でプラズモン効果を取り入れたDAEの異性化ならびに結晶化を考察していくとともに、非線形な応答(2光子励起)についても取り組んでいく。
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