研究実績の概要 |
本研究課題は〈課題a:時間分岐的な可能性表象の分析〉と〈課題b:分岐表象における価値付与の分析〉の二つから成り、平成28年度には単著の著書二冊を発表した。また、課題aの基礎にある時間知覚の研究に関して、共著論文一篇を国際誌に発表した。以下に書誌情報と概要を記す。 [著書1]青山拓央, 『時間と自由意志:自由は存在するか』, 筑摩書房, 2016. 11.[著書2]青山拓央, 『幸福はなぜ哲学の問題になるのか』, 太田出版, 2016. 9.[共著論文]Miyazaki, M., Kadota, H., Matsuzaki, K. S., Takeuchi, S., Sekiguchi, H., Aoyama, T. & Kochiyama, T., “Dissociating the neural correlates of tactile temporal order and simultaneity judgements”, Scientific Reports, vol. 6, Nature Publishing Group, 2016. 4. [著書1概要]博士学位論文(慶應義塾大学, 2016. 2.)に加筆したものであり、時間分岐的様相と自由意志・責任帰属との関係について、多角的な考察がなされている。現代哲学において標準的な「両立論的自由/非両立論的自由」の二分を詳細に論じたのち、後半の章ではこの二分を超えた新たな自由意志論が展開される。[著書2概要]著書1での知見を背景としつつ、時間分岐的様相と価値認識との関係を、「幸福」の多義性分析を通じて明らかにしたものである。[共著論文概要]同時性判断と時間順序判断に関する神経科学系の論文であり、身体運動を担う脳領域が順序判断に関与している可能性を示した。
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