研究実績の概要 |
今年度はスピン流ー電流変換現象に焦点をあて、強誘電体界面・表面の研究を推進した。計算物質デザイン研究としては、基板歪みによってSrTiO3表面, LaAlO3/SrTiO3界面に大きなスピン軌道分裂が生じる可能性があることを明らかにした。特にLaAlO3/SrTiO3では、引っ張り歪みによって、二次元電子ガス面に垂直方向にスピンが配向し、スピン寿命が長くなるpersistent spin helix状態を実現できる可能性があることを明らかにした。これらの成果はN. Yamaguchi and F. Ishii, "Strain-induced large spin splitting and persistent spin helix at LaAlO3/SrTiO3 interface", Applied Physics Express 10, 123003(1)-123003(3)(2017)として論文にまとめられた。 また、以前から継続して研究を実施していたビスマス酸化物/貴金属界面について、Bi2O3/貴金属fcc(111)界面のラシュバ係数を定量的に求め、実験グループの測定結果と比較し、貴金属依存性の起源が界面近傍のポテンシャル形状及び電子分布の違いであることを明らかにした。これらの成果は(H. Tsai, S. Karube, K. Kondou, N. Yamaguchi, F. Ishii, and Y. Otani, "Clear variation of spin splitting by changing electron distribution at non-magnetic metal/Bi2O3 interfaces", Scientific Reports, 8, 5564 (2018))として実験グループとの共著論文にまとめられた。
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