研究領域 | 反応集積化が導く中分子戦略:高次生物機能分子の創製 |
研究課題/領域番号 |
18H04401
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
柴田 哲男 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40293302)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | フッ素 / フロー / トリフルオロメチル / エファビレンツ / HIV |
研究実績の概要 |
研究計画に従い,フロン23(フルオロホルム,CF3H)を用いた求核的トリフルオロメチル化反応をマイクロフロー合成装置にて検討を行った。まず,基質にベンゾフェノンを用いて,ケトンに対するトリフルオロメチル化を検討した。フルオロホルムはフロー合成装置を用いて気体の圧力を制御してY字型のミキサーへ導入し,もう一方の導入口から原料とtBuOKの溶液をミキサーへ導入して反応を行った。流速,圧力,溶媒について最適条件の検討を行った結果,DMF溶媒で,フルオロホルムを0.1MPaで導入する条件が良好であることを見出した。この反応の基質汎用性は高く,種々のケトン類に対して高収率でトリフルオロメチル化が進行することがわかった。次に,アルデヒドに対してトリフルオロメチル化を行ったところ,ケトンの場合と同じ条件ではトリフルオロメチル化が進行しなかった。そこで,原料と塩基を別々にミキサーへ導入することとし,3成分を混合可能なミキサーに変えて検討を行ったところ,収率よくトリフルオロメチル化が進行することを見出した。本手法を用いることで,種々のアルデヒド類に対して高収率でトリフルオロメチル化を達成した。この手法を応用することで,β―カルコン類のトリフルオロメチル化も達成した。また,本手法を光学活性なスルホキシイミンに対して適用することで,立体選択的フロートリフルオロメチル化にも成功した。本手法の応用として,抗HIV薬エファビレンツの合成中間体のトリフルオロメチル化を検討した結果,良好な収率で生成物が得られることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画時に期待した,フルオロホルムを用いたフロートリフルオロメチル化に成功したことに加え,この成果をOpen雑誌であるChemistryOpenに投稿したところ高い評価を受けて採択され,論文誌の表紙を飾ることとなったため,(2)と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はフロートリフルオロメチル化の手法を,まず,その他のフロン類を用いるフルオロアルキル化反応へと展開する。具体的にはペンタフルオロエチル化やジフルオロエチル化から取りかかる。これらの技術を足がかりに,環化を伴う付加型の連続反応や生理活性物質の原料となるフルオロアミノ酸類の合成にも拡張する。さらには中分子医薬品のフロー合成の達成を目指す。
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