今後の研究の推進方策 |
有機超弾性結晶のせん断印可相転移におけるミクロスケール熱拡散率測定では,テレフタルアミド単結晶のせん断下β相→α相転移時の動的熱拡散率測定に成功したが, さらにセンサーの動的制御の速度と精度を上げ, 動的熱物性変化の高精度データを複数の超弾性結晶の相転移に応用するための技術の確立を進める. 量子ドット蛍光を温度プローブとする温度波の位相遅れから求める高い空間分解能の熱拡散率マッピング法では, 中心波長405 nmのレーザー光誘起による蛍光強度の位相測定から,空間分解能数十ミクロンの熱拡散率のマッピング測定を行った. 蛍光probeの化学構造の最適化と, 測定にあたっての濃度や温度などの条件を精査することにより, 本来の高い空間分解能の熱拡散率測定法の開発を進める. ポリアクリル酸ゲル(PAAc)はLCST近傍で特徴的な熱伝導性変化を示すことが,微分干渉顕微鏡下のモルフォロジー観察と熱拡散率同時測定により明らかになり,ATR-FTIRによる溶媒和の水素結合ネットワーク変化や,相分離機能の熱揺らぎとの関係をさらに検討するため, 超高解像蛍光顕微鏡によるサブミクロンスケールにおいても,相分離のモルフォロジー観察を進める予定であり,そのための温度制御装置や疎水性蛍光体とゲルとの親和性などについて,さらに実験を進める.
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