公募研究
本研究では、有機双安定メモリをはじめとした、外場の刺激に敏感なソフトクリスタルを対象として、テラヘルツパルスによって超高速制御および超高速テラヘルツデバイスに関する研究を進める。有機材料と金属微粒子等を組み合わせた系において、テラヘルツ・光等の外場制御によるスイッチングを実施していく。AIDCN (2-amino-4, 5-imidazoldicarbontrile)中にアルミニウムナノクラスタを挟んだ試料において、超高速伝導制御を試みている。AIDCNと金属Al蒸着装置の改造を行い、これまで単一のターゲットを蒸着する仕様であったが、装着できるターゲット・電源等をすべて複数化することにより、同時に複数の物質を特定のスピードで蒸着することができるようになった。現在は、有機材料と金属材料を共蒸着することによって、試料作成の最適化を図っており、以前より大きな伝導変化が得られている。外部より印加する電場のみならず、磁場によって、偏光制御可能なテラヘルツ素子の開発を行った。磁性体薄膜Coに非磁性金属薄膜Ptを組み合わせ、さらには外部電場可能な液晶層を放射側に装着した。これにより外部の磁場によって、スピン流の流れを制御し、また電場により放射テラヘルツ波の位相遅延を制御することを可能にした。印加する磁場の向きや電場の大きさによって、直線偏光から円偏光に至るまで制御することが可能になった。スピン分光や偏極分子の分光など、テラヘルツ領域における偏光に基づいた精密分光の需要は高まっており、それらに適したコンパクトで強力な光源の開発に成功した。
2: おおむね順調に進展している
有機双安定メモリとして働く材料の探索および最適化など、順調に進んでいる。液晶をもちいたテラヘルツ偏光素子や光記録材料におけるテラヘルツ分光など、当初予定していた以上に多彩な展開が行われている。
有機材料や液晶等をはじめとしたソフトクリスタルを対象に、テラヘルツや光による超高速制御を試みる。また、ソフトクリスタルをもとにテラヘルツ制御デバイスの開発を試みる。テラヘルツ分光等によるソフトクリスタルの評価や、光パルス照射により発生するテラヘルツ波発生をモニターすることで、光記録材料等の評価への応用も試みる。新たなターゲットに対するテラヘルツ照射実験やテラヘルツ分光測定などを積極的に行い、多くの成果につながるようにしたい。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 4件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (44件) (うち国際学会 30件、 招待講演 9件) 備考 (2件)
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