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2018 年度 実績報告書

テーブルトップ型超高速電子線を用いたソフトクリスタルの光誘起現象の動画撮影

公募研究

研究領域ソフトクリスタル:高秩序で柔軟な応答系の学理と光機能
研究課題/領域番号 18H04519
研究機関筑波大学

研究代表者

羽田 真毅  筑波大学, 数理物質系, 准教授 (70636365)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード構造ダイナミクス / ソフトクリスタル / 超高速現象
研究実績の概要

本研究提案では、テーブルトップ型超高速時間分解電子線回折法を駆使して、光応答性の結晶・液晶(ソフトクリスタル)の分子動画の撮影を行う、すなわちその分子の立体構造を理解し、光誘起構造変化ダイナミクスの詳細を解明することを目的とする。我々は、日本で先駆けて時間分解能500フェムト秒(フェムト秒:1000兆分の1秒)を持つテーブルトップ型の超高速時間分解電子線回折装置を完成させている。有機物質のダイナミクスを観察できる電子線回折装置は日本においては、我々の開発した装置に限られる。本装置を用いて、分子間相互作用が深く関わる結晶・液晶などのいわゆるソフトクリスタルの分子凝集系を対象として、光によって変化の生じる分子構造をダイナミックに観測する。
2018年度は、フェムト秒からピコ秒の物質の動的ダイナミクスとナノ秒からミリ秒における物質の動的ダイナミクスを連続的に測定可能なテーブルトップ型時間分解電子線回折装置の改良を行うために、ナノ秒レーザーの導入を行った。さらに、一部に長距離周期をもつような液晶(酸化グラフェン及びアゾベンゼン液晶)の構造ダイナミクス計測を行った。酸化グラフェンの構造ダイナミクス計測は、光照射と過熱による還元過程が異なることを見出すことに成功した。また、アゾベンゼンの構造ダイナミクス計測では、これまでミリ秒やマイクロ秒で生じると考えられてきた共同的な運動が100ピコ秒で生じることを世界で初めて示すことに成功した。これらは現在、ともに論文投稿を行い査読中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究提案では、テーブルトップ型超高速時間分解電子線回折法を駆使して、光応答性の結晶・液晶などのソフトクリスタルの分子動画の撮影を行う、すなわちその分子の立体構造を理解し、光誘起構造変化ダイナミクスの詳細を解明することを目的とする。
2018年度は、ナノ秒レーザーの導入・いくつかのソフトクリスタルの構造ダイナミクス計測に成功し、非常に大きな成果を得ている。ただし、2018年度に、岡山大学から筑波大学へ異動したため、2019年度は装置の再構築を行う必要がある。このような達成状況から区分(2)を選択した。

今後の研究の推進方策

2018年度に、岡山大学から筑波大学へ異動したため、2019年度の前半は装置の再構築を行う。さらに、時間分解電子線回折装置を用いてソフトクリスタルの光応答中の構造ダイナミクス計測を実施する。当該新学術研究領域の領域会議内で議論を行った様々なソフトクリスタル試料に対して、光照射直後から一連の光応答中の分子の構造ダイナミクスの計測を行う。特に以下の項目を注力的に遂行する。
・結晶に近いスメクチック液晶の構造ダイナミクス計測
・光照射によってアモルファス・結晶相転移を行うイオン液体の構造ダイナミクス計測
・時間分解電子線回折法と他の時間分解計測法(時間分解X線回折法や時間分解赤外分光法)との相補的な実験
・時間分解電子線回折法で得られた結果を計算科学の結果と照らし合わせることで見えてくる構造ダイナミクスの展開

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [学会発表] Ultrafast structural dynamics of soft matter2019

    • 著者名/発表者名
      Masaki Hada
    • 学会等名
      6th Banff Meeting on Structural Dynamics
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Structure and photoinduced dynamics of graphene oxide revealed by ultrafast time-resolved electron diffraction2019

    • 著者名/発表者名
      T. Sawa, M. Hada, K. Miyata, S. Ohmura, Y. Arashida, K. Ichiyanagi, I. Katayama, T. Suzuki, W. Chen, S. Mizote, T. Nishikawa, Y. Yamashita, T. Yokoya, T. Seki, J. Matsuo, T. Tokunaga, C. Itoh, K. Tsuruta, R. Fukaya, S. Nozawa, S. Adachi, J. Takeda, K. Onda, S. Koshihara, Y. Hayashi, Y. Nishina
    • 学会等名
      6th Banff Meeting on Structural Dynamics
    • 国際学会
  • [学会発表] ソフトクリスタルの光誘起現象を超高速時間分解電子線回折法で観察する2019

    • 著者名/発表者名
      羽田真毅
    • 学会等名
      日本化学会第99春季年会
    • 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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