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2018 年度 実績報告書

トンボで幅広く見られる性スペクトラムの分子基盤

公募研究

研究領域性スペクトラム - 連続する表現型としての雌雄
研究課題/領域番号 18H04893
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

二橋 亮  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (50549889)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワードトンボ / オス多型 / メス多型 / 性分化
研究実績の概要

トンボは基本的に視覚で相手を認識することから、雌雄で翅や腹部の色彩・斑紋が著しく異なる種が多く存在する。興味深いことに、幅広いトンボでオスに擬態するメス(オス型メス)や、逆にメスに擬態するオス(メス型オス)が出現する。この現象は、生態学的な面から研究が進められてきたが、多型や性分化に関する分子基盤はほとんど未解明である。本研究では、複数種のトンボのメス多型、オス多型に着目しながら、トンボの性分化メカニズムを包括的に理解することを目指す。2018年度はメス多型およびオス多型が見られるシオカラトンボとニホンカワトンボを用いて、多型の主要な原因であるワックス合成に関わる遺伝子の解析を行った。その結果、シオカラトンボなどトンボ科では17種のELOVL遺伝子が存在し、シオカラトンボではその内1種類がオスおよびオス型メス特異的に発現すること、ニホンカワトンボではシオカラトンボとは異なるELOVL遺伝子がワックス合成に関与することを発見した。前者に関しては、ワックスの人工合成および紫外線反射メカニズムの結果とあわせてeLife誌にて発表した。また、多型の原因遺伝子を調べる目的でチョウトンボおよびニホンカワトンボの比較ゲノム解析を進め、チョウトンボに関しては、多型の原因遺伝子座の構造を決定した。この原因遺伝子座は、予想以上に複雑な構造をとることが明らかになった。また、ニホンカワトンボに関しても、RNAseq解析とRADseq解析によって、多型と相関の見られる領域の絞り込みを進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

トンボのゲノム解析、RNAseq解析、RAD-seq解析を順調に進められたことに加えて、シオカラトンボの性分化と紫外線反射に関してeLife誌で論文発表を行うなど、研究は非常に順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

トンボは、オス多型やメス多型が独立に進化していると考えられるため、複数の種でRNAseq解析、ゲノム解析、RNAiによる遺伝子機能解析を行うことで、トンボで見られる連続的な性分化(性スペクトラム)に関する分子基盤の進化にアプローチする。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 図書 (1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] Molecular basis of wax-based color change and UV reflection in dragonflies.2019

    • 著者名/発表者名
      Futahashi R., Yamahama Y., Kawaguchi M., Mori N., Ishii D., Okude G., Hirai Y., Kawahara-Miki R., Yoshitake K., Yajima S., Hariyama T., Fukatsu T.
    • 雑誌名

      eLife

      巻: 8 ページ: e43045

    • DOI

      10.7554/eLife.43045

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] トンボの色覚および紫外線反射の分子基盤2019

    • 著者名/発表者名
      二橋亮
    • 雑誌名

      生物資源ゲノム解析拠点ニュースレター

      巻: 6 ページ: 30

  • [学会発表] トンボの色覚および紫外線反射の分子基盤2019

    • 著者名/発表者名
      二橋亮
    • 学会等名
      生物資源ゲノム解析拠点 研究報告会
  • [学会発表] トンボの「性スペクトラム」に関わる紫外線反射の分子機構2019

    • 著者名/発表者名
      二橋亮
    • 学会等名
      性スペクトラムー連続する表現型としての雌雄 第1 回若手研究会
  • [学会発表] トンボとヤゴの話2018

    • 著者名/発表者名
      二橋亮
    • 学会等名
      親子展~富山のトンボ・ヤゴ編~
    • 招待講演
  • [学会発表] トンボの体色形成メカニズと環境適応2018

    • 著者名/発表者名
      二橋亮
    • 学会等名
      日本動物学会関東支部公開講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] トンボ由来の新規紫外線反射物質2018

    • 著者名/発表者名
      二橋亮
    • 学会等名
      産業技術総合研究所 新技術説明会
    • 招待講演
  • [学会発表] Molecular mechanisms underlying color formation in dragonflies2018

    • 著者名/発表者名
      Futahashi R.
    • 学会等名
      The 28th Annual Meeting of the Japanese Society for Pigment Cell Research
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] ヤゴ ハンドブック2019

    • 著者名/発表者名
      尾園暁・川島逸郎・二橋亮
    • 総ページ数
      120
    • 出版者
      文一総合出版
    • ISBN
      978-4-8299-8161-0
  • [備考] 個人Webページ

    • URL

      https://sites.google.com/site/ryofutahashi/home/japanese

  • [産業財産権] 国際特許2018

    • 発明者名
      二橋亮ほか
    • 権利者名
      産業技術総合研究所ほか
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2018/019559
    • 外国

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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