研究領域 | ヒッグス粒子発見後の素粒子物理学の新展開~LHCによる真空と時空構造の解明~ |
研究課題/領域番号 |
19H04614
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
大村 雄司 近畿大学, 理工学部, 講師 (00772097)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | 素粒子物理 / フレーバー物理 / 暗黒物質 |
研究実績の概要 |
本研究では暗黒物質物理を含めた新物理探索実験に基づくフレーバー構造の起源の解明を目的とし研究を遂行している。 フレーバー構造の起源は数多く提案されており、その一つにフレーバー対称性がある。今年度は、現在フレーバー実験で報告されているアノーマリーに着目し、その背後にありうる新物理並びにフレーバー対称性を研究し、そのフレーバー構造に関する新物理のLHC実験やBelle2実験における検証方法を研究した。特にフレーバーの破れを引き起こす結合を持つ余剰スカラーや余剰ベクター粒子の検証方法を議論し、将来実験での検証可能性を解析した。報告されているアノーマリーは弱い相互作用に匹敵する大きさの相互作用を要求することがわかり、LHC実験とBelle2実験や他のフレーバー実験、さらには暗黒物質探索実験で十分検証可能であることを数値的に示した。 そのほかにもゲージ対称性の起源として有力な大統一理論を考え、大統一理論からフレーバー構造を導く機構も研究を行い、研究協力者とコライダー実験やフレーバー実験での検証方法も研究を進めている。現在フレーバーのB中間子の崩壊でアノーマリーが報告されており、そのプロセスと大統一理論との関連も議論している。また、CP問題といったフレーバー構造に関連する問題から模型を構築して、CP問題を解決するだけでなく実験的にどのように検証されているかを現状と将来の展望に関して論文JHEP 04 (2019) 162を執筆し、国際研究会で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究経過は、当初より複数の研究協力者を募ることを想定しており、年度内で研究協力者を招聘もしくはオンラインでの会議を多数開催することができ、研究は計画通りに進んでいるといえる。 ただし、実験結果を受けて多少研究の方向性が変わり、フレーバーの起源を理論的に探るというよりもアノーマリーに特化した新物理の研究に従事しており、研究目的である実験結果に基づくフレーバー起源の考察は来年度の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は発表された実験結果に基づいた研究が進み、実験結果を再現できる模型構築並びにその実験的な検証方法の研究を行った。そのため理論的な考察がまだ不十分であり、フレーバーの起源を解明するべく2020年度は理論的考察の研究を進める予定である。また暗黒物質物理の実験でも最新の実験結果から得られる暗黒物質模型の現状を包括的に研究する予定であり、さらにそこから得られるフレーバー起源と暗黒物質との関連性に関して研究を進める予定である。
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