今後の研究の推進方策 |
以下の項目に沿って、蜜腺としてのアイデンティティである球状形態の構築、蜜の輸送、生成、分泌などをつかさどるリアリゼーター(realizator具現化)遺伝子のうち、MAB4遺伝子に着目して、その制御機構を探る。1) CRCによるMAB4遺伝子の発現制御機構の解明のため、CRCのもつZinc fingerドメインおよびhelix-loop-helixドメインの欠損株を作成して、結合性および相補能を探る。2) MAB4遺伝子の蜜腺発達におけるプロモーター解析を行う。3) MAB4の作用機構の解明のために、オーキシンレポーターや輸送体PIN6レポーターの発現を野生型およびmab4変異体において比較解析する。 さらに、蜜腺の崩壊過程における解析も進める。4) 開花後の野生型の花を用いて、時間軸に沿った蜜腺の表現型解析、核の崩壊、クロマチンの凝縮、ミトコンドリア膜の分解、液胞の崩壊および蛍光顕微鏡をもちいた DNAの断片化を可視化することで、シロイヌナズナにおける蜜腺のプログラム細胞死を時間軸にそって記述する。5) 上記解析において、時間軸に沿ったCRCレポーター遺伝子、ショ糖のバイオセンサー、ショ糖トランスポーターレポーター、および細胞死マーカー遺伝子(DNA分解酵素BFN1, プロテアーゼCEP1, それら上流の転写因子であるKIRA1, ORE1)を活用することで、受精後の蜜腺の消失過程における分子マーカーの発現と生殖のイベントをリンクさせる。6) 開花から蜜腺の崩壊までの時間軸に沿ったRNA-seqおよび、メタボローム解析を行うことにより、プログラム細胞死にいたる鍵となるシグナルの同定とその下流のシグナル伝達経路の解明をめざす。
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