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2019 年度 実績報告書

トランスオミックス解析によるストレス性精神疾患の構成的理解

公募研究

研究領域マルチスケール精神病態の構成的理解
研究課題/領域番号 19H05217
研究機関大阪大学

研究代表者

笠井 淳司  大阪大学, 薬学研究科, 助教 (40454649)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード精神疾患 / ストレス / 前障
研究実績の概要

強い精神的ストレスは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など種々のストレス性精神疾患を引き起こす。過度なストレスは、扁桃体を中心とする神経回路だけなく脳全体を大規模に活性化させ、不安やfreezingなどの行動応答を惹起する。しかしながら、これまで、扁桃体や前頭前野など特定の脳領域に着目した研究、または低解像度な脳機能マッピング研究など、各階層の研究にとどまり、ストレス性精神疾患の構成的理解にまで至っていない。この課題を解決するためには、強いストレス刺激による脳全体の活動変化、構造変化、さらにその中の重要な個々の細胞の遺伝子発現変化などを多階層に解析する必要がある。
そこで本年度は、ストレス性精神疾患の病態を創出する最小パーツを理解するため、全脳活動マッピングより得られた前障において、ストレス応答性と非応答性の神経細胞から単一細胞トランスクリプトーム解析、回路マッピングを実施し、細胞特性や分子マーカー、ストレス応答性神経ネットワークを明らかにすることを目指した。今年度はストレス応答性前障神経細胞の単一細胞トランスクリプトーム解析を実施し、前障マーカーおよび最初期遺伝子が発現増加していることを明らかにした。さらに、クラスタリング解析の結果、前障のストレス応答神経細胞は、3つの群に分かれることを明らかにした。今後は、さらなる詳細な解析と機能解析を進め、精神疾患の構成的理解に貢献することを目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、単一細胞トランスクリプトーム解析を実施し、クラスタリング解析などから分子特性となる情報を得ることに成功しているため。

今後の研究の推進方策

今後は、回路や分子特性に基づいた特定の細胞集団の活動操作などを実施し、脳全体や局所の神経活動・情動行動に与える影響を明らかにする。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Direct visualization of an antidepressant analog using surface-enhanced Raman scattering in the brain2020

    • 著者名/発表者名
      Tanuma Masato、Kasai Atsushi、Bando Kazuki、Kotoku Naoyuki、Harada Kazuo、Minoshima Masafumi、Higashino Kosuke、Kimishima Atsushi、Arai Masayoshi、Ago Yukio、Seiriki Kaoru、Kikuchi Kazuya、Kawata Satoshi、Fujita Katsumasa、Hashimoto Hitoshi
    • 雑誌名

      JCI Insight

      巻: 5 ページ: e133348

    • DOI

      10.1172/jci.insight.133348

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Whole-brain block-face serial microscopy tomography at subcellular resolution using FAST2019

    • 著者名/発表者名
      Seiriki Kaoru、Kasai Atsushi、Nakazawa Takanobu、Niu Misaki、Naka Yuichiro、Tanuma Masato、Igarashi Hisato、Yamaura Kosei、Hayata-Takano Atsuko、Ago Yukio、Hashimoto Hitoshi
    • 雑誌名

      Nature Protocols

      巻: 14 ページ: 1509~1529

    • DOI

      10.1038/s41596-019-0148-4

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 全脳活動マッピングを用いた情動行動制御機構の解明2019

    • 著者名/発表者名
      笠井淳司、橋本均
    • 学会等名
      生体機能と創薬シンポジウム2019

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公開日: 2021-01-27  

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