研究領域 | ソフトクリスタル:高秩序で柔軟な応答系の学理と光機能 |
研究課題/領域番号 |
20H04684
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
林 正太郎 高知工科大学, 環境理工学群, 講師 (00532954)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フレキシブルクリスタル / π共役系分子 / 空間分解分光 |
研究実績の概要 |
アントラセン構造を基軸とした様々な柔軟性結晶(機械弾性変形が可能なエラスティック結晶および塑性変形が可能な分子結晶)を合成・結晶化を検討しつつ、創出することができている。特に、9,10-dibromoanthraceneからなるエラスティック結晶は非常に高いフレキシビリティをーを有しており、様々な計測に対応してくれた。これに加え、エラスティック結晶の機械的変形に基づき、その結晶空間の制御を目的として研究を行った。特に、この新学術領域内または外部との共同研究によって、新たな現象解明を模索した。 エラスティック結晶の弾性的bendingによって結晶の伸長elongationと圧縮contractionが同時に起こるため、この結晶格子は全体として異なる構造になる。この空間を調べるために単純な粉末x線回折装置で、結晶の外側と内側を調べるためのジグを自作し、格子の変形を調べた。狙い通り、結晶変形が明確に格子の伸び縮みへ影響を及ぼすことがわかった。一方で、空間分解蛍光スペクトルで10-20μm(スポット径)の微小領域に焦点を当て調べることによって、検出される蛍光スペクトル が、外側(elongation side)と内側(contraction side)で異なることがわかった。この結果は結晶中で実現された空間変化が物性に影響を与えたことを示唆する。また、異方性に基づく変化を蛍光分光により調べており、bent結晶の外側と内側で、角度と強度に違いがあることがわかった。これは変形によって分子間パッキングが変わったことを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
結晶空間の変形による変化をAngewandte Chemieに蛍光変化をCrystEngCommに発表できた。この点で研究遂行しおける基本的な下地ができている。一方で、高知工科大への移動・研究室設営に時間が取られたために、テストサンプル数がまだまだ足りない。しかし、一通り計画内容を遂行できたことは非常に大きな進展である。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況を踏まえて、テストサンプルを今年度にどこまで増やせるかが鍵になる。また、コロナ 禍で十分に進めることができていない共同研究を模索する必要がある。
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