マクロ構造体を外部刺激によって直接メカニカルに動かすことができれば、学術的にも応用面からも大変有意義である。有機固体光化学を専門とする申請者にとって、「動く結晶」を作ることは長年の夢であったが、本研究により、結晶フォトクロミズムを利用すればメカニカルに動く結晶が実現することを、アゾベンゼン、サリチリデンアニリン、フリルフルギドなどで明らかにすることができた。アゾベンゼン結晶が光でメカニカルに動くことをJournal of American Chemical Societyに発表したところ、注目され、C&ENニュース誌のトピック、および、Nature Asia Materialsのハイライトに掲載された。また、サリチリデンアニリン微結晶の光照射前後のX線結晶構造解析を行い、結晶構造の微小な変化がメカニカルな動きを生み出すことを明らかにした。さらに、本研究では新たなメカニカル結晶の探索と創製を継続して行ない、スピロピラン結晶も動くことを見いだした。
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