研究領域 | 宇宙観測検出器と量子ビームの出会い。新たな応用への架け橋。 |
研究課題/領域番号 |
21H00159
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中村 智樹 東北大学, 理学研究科, 教授 (20260721)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ミュオン / はやぶさ2 / C型小惑星 / Ryugu |
研究実績の概要 |
小惑星探査機はやぶさ2が回収したCbタイプ小惑星リュウグウの1~8mmサイズの個体粒子10試料に対し,東海村J-PARCのミュオン施設において,ミュオン照射による元素分析を行った.その結果,炭素,窒素,酸素,マグネシウム,ケイ素,硫黄,鉄などの元素の存在度を求めることができた.これらの元素のSiで規格化した元素比は,CIコンドライトの元素比と酸素を除き,ほぼ一致したことから,リュウグウサンプルは太陽系で最も始原的な元素組成を持つ物質であることが分かった.一方,酸素の存在度はCIコンドライト(Orgueil隕石)と比較して,~25%低く,このことは,CIコンドライトが地球に落下後に地球の水分や酸素を取り込んだためと推察される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
小惑星リュウグウの分析においいては,当初の計画では炭素の存在度を求めることが目標であったら,実際の分析では装置のバックグラウンドを有意に下げることができ,かつ,リュウグウのサンプル量も予想を超えて確保できたことから,炭素以外の多くの元素の存在度を求めることができたため.
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今後の研究の推進方策 |
来年度も引き続き,今回の実験で得られたデータの詳細な解析を進めて,より多くの元素の存在度を推定する.また,酸素については,局所同位体比分析を行い,リュウグウに含まれる酸素からリュウグウ形成に関する制約を行うことを目標にする.
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