研究実績の概要 |
本年度は、まず最初に高超硫黄分子産生能を有する腸内細菌を数種類選定し、そのゲノム解析を行い産生酵素の同定を試みた。高超硫黄分子産生菌としてRuminococcaceae科やLachinospiraceae科に属するA. colihominis、C. bolteae、D. longicatenaを選定した。次に上記3種類の腸内細菌のゲノムをターゲットに解析を行った。各腸内細菌のゲノム情報を得るために、嫌気培養により増殖させたA. colihominis、C. bolteae、D. longicatenaの菌体からDNAを抽出し、Illumina NovaSeq 6000を用いてWhole Genome Sequencingを実施した。 また、上記の腸内細菌は超硫黄分子を産生する酵素反応には、ピリドキサールリン酸(PLP)の結合が必要であることが、PLP依存的な酵素反応を阻害するアミノオキシヘミ酢酸塩(AOAA)添加実験により確認されているため、PLP結合サイトを持つ可能性のある遺伝子群をターゲットにして、超硫黄分子産生酵素遺伝子の絞り込みを実施した。DFAST, KEGG (GhostKOALA) に基づく遺伝子アノテーションを行った結果、3株とも宿主の超硫黄分子産生酵素であるCSE,CBSとされる遺伝子は有していなかった。一方で、cystathionine beta-lyaseに分類された遺伝子を多く有していた。
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