研究領域 | 元素ブロック高分子材料の創出 |
研究課題/領域番号 |
25102516
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 彰浩 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90293901)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | カルボラン / 高スピン分子 / 混合原子価 / 磁性高分子 |
研究概要 |
本研究では,パイ共役系有機分子ユニットにカルボランを導入した新規な分子系を中心とする有機・無機ハイブイッド型磁性元素ブロックを開発することを目的としている.今年度は,フェニレンで連結したカルボランダイマーを中心とする化合物の電子状態について理論的に明らかにするとともに,それら関連化合物を実際に合成し,基礎物性の評価を実施した. フェニレンで2つのモノカルバドデカボランを繋いだカルボランダイマーの電子状態を密度汎関数法を用いて調べた.一般にフェニレンで2つのパイ共役分子ユニットを繋いだ場合に,パラフェニレンでつないだ場合は,分子全体のパイ共役が保たれ,メタフェニレンでつないだ場合は,パイ共役が切断されることが知られている.しかしながら,今回検討したパラフェニレンならびにメタフェニレン連結カルボランダイマーにおいては,パラ位・メタ位いずれの結合様式においても分子全体の共役が保たれる傾向があることが理論的に予測された.さらに,パラ位・メタ位連結カルボランダイマーを2電子酸化することによって発生する中性ジラジカル種におけるスピン一重項状態と三重項状態のエネルギーを見積もったところ,パラ連結ダイマーでは一重項状態が基底状態であるのに対し,メタ連結ダイマーでは三重項状態が基底状態であり,カルボランをスピン源として考えた場合に,メタ連結オリゴマーにおいては,高スピン状態が発現する可能性が高いことが予測された. 以上の理論的検討の結果をふまえて,パラ位・メタ位連結カルボランダイマーやオリゴマー体の合成を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論的検討により,フェニレン連結カルボランダイマーの電子状態の特徴について明らかにすることができた.また有用な分子系であることを予測することができた.さらに実際にカルボランダイマーやオリゴマー体の合成を実施した.
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今後の研究の推進方策 |
実際に合成した化合物群の物性評価を集中的に行うことにより新たな分子設計指針を創出する.
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