研究領域 | 生合成マシナリー:生物活性物質構造多様性創出システムの解明と制御 |
研究課題/領域番号 |
25108704
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
梅野 太輔 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00400812)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | テルペノイド / 進化分子工学 / 代謝工学 / スクリーニング / 反応特異性 / カロテノイド / ランダム変異 |
研究概要 |
本研究では,ランダム変異を与えた変異体プールの中から,ハイスループットスクリーニングを用いた活性型変異体を濃縮することによって,テルペン酵素の進化的可塑性について多くの情報を得ることを目的としている。 我々が開発したテルペン活性のスクリーニング法では,基質消費能を細胞内での有効活性の指標とする方法である。とくにファルネシル2リン酸(セスキテルペンの原料)の消費能をみるために用いる,ブドウ球菌由来のCrtM, CrtNという酵素群によるカロテノイド色素合成経路について,新しい知見を得ることができた。 1. カロテノイド酵素CrtM自体のサイズ変異体を取得した。カロテノイド酵素のサイズ特異性をきめる多くのアミノ酸残基を明らかにできた。 2. カロテノイドの不飽和化酵素CrtNが,じつはスクアレンも不飽和化することを見いだした。この意外な発見をもとに,スクアレン合成活性を可視化する新しいスクリーニング系を確立できた。 3. 一方で,他種の不飽和化酵素CrtIは,スクアレンをまったく受け付けない。この基質選択性の差異をもとに,スクアレン合成酵素の還元的な縮合反応を保証するための残基を組織的に洗い出すことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テルペン酵素の進化工学系自体も改良を施し,着々と「進化」している。4つの事例をまとめて,とりあえずは手法論文として公開することができた。また,消費基質や活性のバリエーションに対応できるように,スクリーニング系のラインナップを拡張することができた。 また,CrtM/Nやテルペン酵素の発現強度比をひろく変化させるコンストラクトを揃えることによって,スクリーニング系のダイナミックレンジを高めることができた。これによって,「より基質消費活性の高い」テルペン酵素をつり上げる技術プラットフォームが確立できた。本研究で重要なのは,Screening系のRobustnessである。急がば回れ,きっちり系をつくったことで,次のステップを容易に踏めるようになったと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の究極の目的は,テルペン環化酵素の無方向な機能発散を高速に行い,その進化の過程を「観察」することにある。H25年度いっぱいかけて改良したスクリーニング系を用いて,多世代にわたり「ランダム変異導入→機能選択」を繰り返し,遺伝型,そして機能の発散を即してゆきたいと考えている。申請書にかいたとおりに進めてゆく予定である。
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