公募研究
内耳の感覚細胞である有毛細胞は、さまざまな特化された微細構造を持ち、音や加速度といった機械的刺激を生体内の電気信号に変換するという非常に巧妙な機能を担うが、細胞分裂せず一度障害を受けると機能的再生が困難なため、障害の多くは不可逆的である。このため、有毛細胞においては、細胞の恒常性維持・機能維持が特に重要と考えられる。本研究では、細胞の恒常性維持に重要であるオートファジーが、マウスの聴覚機能に重要な役割を果たすことを明らかにした。オートファジーに必須の分子であるautophagy-related 5(Atg5)を有毛細胞にて欠損させた遺伝子改変マウス(Atg5flox/flox;Pou4f3-Creマウス)を作製し、有毛細胞におけるオートファジー活性が聴覚機能および細胞形態に及ぼす影響を検討した。有Atg5flox/flox;Pou4f3-Creマウスは先天性の高度難聴を呈し、有毛細胞内にユビキチン-p62陽性封入体形成を認めた。また、Atg5flox/flox;Pou4f3-Creマウス有毛細胞の組織学的検討では、14日齢において聴毛の変性、および一部の細胞の脱落を認めた。8週齢においては、有毛細胞の変性がさらに進行していた。本研究により、有毛細胞における恒常的オートファジーは聴覚機能および細胞形態の維持に重要であることが示された。オートファジーと聴覚障害の病態形成との関連性について、さらなる研究の進展が期待される。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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