本新学術領域「ソフトクリスタル:高秩序で柔軟な応答系の学理と光機能」では、蒸気にさらす、擦る、回すなどの極めて弱いマクロな刺激に応答して、発光や光学特性などの「目に見える」性質が変化する新奇物質群を「ソフトクリスタル」と呼び、その学理の確立と、これに基づく新しい機能性素材の開拓に注力してきた。本研究課題においては、5年間の研究成果の総括として、「学理確立」と「新機能創出」の2つのターゲットに対して検証を行い、今後の学術の発展に供するとともに、学術成果を広く社会に還元するべく活動した。本課題の実績は以下のとおりである。 1) 研究成果報告書をとりまとめ公表した。 2) 「ソフトクリスタル」の学術書(英語版)「Soft Crystals Flexible Response Systems with High Structural Order」をSpringer社より刊行した。冊子体とともに、e-bookはOpen Accessとして世界中だれでも閲覧できるようにした。和文の啓発書「ソフトクリスタル」も近日中に出版できる予定である。 3) 「ソフトクリスタル」広報ビデオ(2021年製作)はWEB上で公開しているが、それとともに国内外のシンポジウムの招待講演(25th International Conference on the Chemistry of the Organic Solid State他)でも上映することにより領域研究の広報に活用した。 4) 若手育成の観点から、ソフトクリスタル研究会を立ち上げた(第1回、11月@鎌倉)。約50名の研究者が参加して活発な議論が行われた。また、日本化学会春季年会イノベーション共創プログラム(CIP)において、「フレキシブル分子性結晶材料ソフトクリスタルによる革新的技術開発」シンポジウムを行った。企業関係者も多く参加して活発な議論が行われた。
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