2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of New Reactions Based on the Construction of Precisely Designed Multidentate Ligands
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
15H05800
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩澤 伸治 東京工業大学, 理学院, 教授 (40168563)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 異種二核金属錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究において、6,6”-ビスホスフィノ-2,2’:6’,6”-ターピリジンを用いて、異種二核金属錯体を効率良く合成する手法を確立することを目指して研究を行った。その結果、リン原子上にフェニル基あるいはアルキル基が置換した配位子を用いることで、ターピリジン部位にカチオン性のジクロロ金属(M1 = Al, Ga, In)が導入された錯体を得ることができた。次いで、これらの13族金属(M1)含有錯体をPM1P-ピンサー型配位子として用い、これに後周期遷移金属M2を導入する検討を行ったところ、ガリウム含有配位子に対しPt2(dba)3を作用させることにより、目的のGa-Pt結合を持つ異種二核金属錯体を得ることができた。また、リン原子上にt-ブチル基を持つ化合物の単結晶X線構造解析を行うことにも成功した。 次に、澤村らが開発したポリスチレン架橋型ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン配位子を用いて、我々の開発したロジウム触媒を用いる単純芳香族化合物のカルボキシル化反応の検討を行った結果、これまで必要であったジメチルアセトアミドやテトラメチル尿素を添加せずとも目的の炭素-水素結合カルボキシル化反応が進行することを見出した。従来この反応では、ジシクロヘキシルホスフィノ基等のアルキルホスフィンがC-H結合活性化に必要と考えられており、実際、単量体のビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン配位子を用いた場合、反応はほとんど進行しない。従ってポリマーに担持することによりジフェニルホスフィノ基を持つ配位子でも速やかに反応が進行したことは注目すべき結果であり、高分子反応場が反応活性種の性質に何らかの影響を及ぼしているものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
6,6”-ビスホスフィノ-2,2’:6’,6”-ターピリジンを用いて、各種の13族金属を含む異種二核金属錯体を効率良く合成し、X線結晶構造解析により構造を確認することができた。この多座配位子を用いる手法は、金属-金属結合を持つ錯体合成法として特筆すべきものである。現在さまざまな錯体の合成とその反応性の検討を継続して行っており、研究は計画通り進行している。また、共同研究も成果を挙げつつあり、総合して順調に研究は進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
異種二核金属錯体の合成法をさらに広く検討すると同時に、合成した各種の錯体の反応性の検討をさまざま行い、斬新な触媒反応の実現を目指す。また、骨格の異なる多座配位子の合成とその利用についてもさまざま検討を行う。
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Research Products
(33 results)