2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of New Reactions Based on the Construction of Precisely Designed Multidentate Ligands
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
15H05800
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩澤 伸治 東京工業大学, 理学院, 教授 (40168563)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 異種二核金属錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究に継続して、6,6”-ビスホスフィノ-2,2’:6’,6”-ターピリジンを用いて、異種二核金属錯体を効率良く合成する手法を確立すること、ならびにこれら錯体を用いて独創的な反応を開発することを目指して研究を行った。すでに一つ目の金属として各種13族金属を導入することに成功していたので、今年度はこれに対し第二の金属を導入する検討を様々行った。その結果、各種の13族金属含有錯体に対し、適切な条件を選択することにより、白金およびパラジウムを導入することに成功した。また、これら各種の錯体の単結晶X線構造解析にも成功し、その構造的な特徴に関する知見も得ることができた。特にAl-Pd錯体においてPd-Cl結合が顕著に長くなっていることが明らかとなった。これは、Al配位子の高いトランス影響によるものと考えられ、Al-Pd錯体が高い反応性を示すことを示唆する結果である。次にこれら錯体を用いてその触媒反応の検討を行った。さまざまな検討を行った結果、Al-Pd錯体が二酸化炭素のヒドロシリル化反応の非常に効率の高い触媒となることを見出した。すなわち、0.1 mol%のAl-Pd錯体に対し、1 mol%のピバル酸セシウムを添加し、室温で1気圧の二酸化炭素雰囲気下ジメチルフェニルシランを作用させることにより、ギ酸シリルが定量的に得られることを見出した。本反応の進行にはカルボン酸塩の添加が必須であり、また、対応するGa-Pd錯体やIn-Pd錯体は低い活性しか示さなかった。本反応のTOFは19300 h-1に達し、これはこれまでに報告されている二酸化炭素のヒドロシリル化反応としては最高の値である。また、Al-Pd錯体が特異的に高い反応性を示したのは、Al配位子の高いトランス影響によるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
13族金属と10族金属を導入した各種二核錯体の合成法を確立し、中でもAl-Pd錯体が二酸化炭素のヒドロシリル化反応に高活性を示すことを見いだした。これらの成果は、金属ー金属結合を持つ錯体の系統的な合成法を確立する第一歩として重要であるだけでなく、これら錯体が独創的な触媒反応開発に向けて大きな可能性を持つことを示す価値ある成果である。これらの成果を挙げることができたことから、現在まで研究は順調に進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
6,6”-ビスホスフィノ-2,2’:6’,6”-ターピリジンの系に関しては、さまざまな異種金属の組み合わせについて広範な検討を行い、異種金属-金属結合を持つ錯体の合成法として確立すると同時に、これら錯体を用いた独創的な反応の開発を目指して継続的に検討を行う計画である。特に一つ目の金属として遷移金属錯体を導入することを積極的に検討したい。また、広く精密制御反応場の観点から新しい可能性を追求したい。
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Research Products
(25 results)