2018 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータビジョンで実現する多様で複雑な質感の認識機構
Project Area | Understanding human recognition of material properties for innovation in SHITSUKAN science and technology |
Project/Area Number |
15H05918
|
Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
佐藤 いまり 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 教授 (50413927)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平 諭一郎 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10582819)
鄭 銀強 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 准教授 (30756896)
向川 康博 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (60294435)
佐藤 洋一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70302627)
西野 恒 京都大学, 情報学研究科, 教授 (60814754)
|
Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | 反射解析 / 分光解析 / コンピュータビジョン / 散乱解析 / コンピューテーショナルフォトグラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画研究では,既存の反射モデルでは表現することが難しい微細構造を持つ物体を対象に,物体表面の微細構造に起因する表面下散乱,内部散乱,異方性反射,構造色,相互反射といった複雑な光学現象に起因する質感を効率的に記録・再現・加工する手法の開発を目指している。具体的には,様々な照射方向・物体表面の光照射点,観察方向のもとで対象物体を観察し,相互反射や内部散乱といった光学現象の各要素を分離して計測する技術を開発し,人間の質感認知のためにどのような光学現象の正確な再現が必要であるのか,物体表面・内部の光の伝搬はどの程度の精度で再現が必要なのかについての検討を進める。この解析に基づき,質感知覚と関係する光学特性を近似するモデルを提案し,対象物体の多様な質感を効果的にモデル化する手法を開発することを目的としている。平成30年度は,物体内部での光の散乱および光の伝搬解析を進めた。H29に開発した吸収および水などの媒質による光の吸収のモデル式に基づく水分量および物体表面の色の推定手法は、複数色で構成する物体表面へと発展させ,その成果は画像解析分野のトップジャーナルに再録された。また,プロジェクタカメラシステムを用いて半径の異なるリング状の照明を用いて物体表面の輝度を観察し,その明るさ変化を解析することにより,物体表面の相互反射や内部散乱といった光学現象の各要素を分離して計測する技術を開発した。この成果は,新規性、有効性ともに高い評価をうけ,コンピュータビジョンのトップ会議に採択された。また、ガラス、布、紙など、様々な質感を持つ物体を対象としたデッサン画のデータベース構築を行い、機械学習にもとづくデッサン画の作成において良好な結果を得ている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本計画研究では,既存の反射モデルでは表現することが難しい微細構造を持つ物体を対象に,物体表面の微細構造に起因する表面下散乱,内部散乱,異方性反射,構造色,相互反射といった複雑な光学現象に起因する質感を効率的に記録・再現・加工する手法の開発を目指している。H30年度は、物体内部での光の散乱、光の伝搬解析を積極的に進めた。H29年度に開発した吸収および水などの媒質による光の吸収のモデル式に基づく水分量および物体表面の色の推定手法を複数色で構成する物体表面へと発展させ,その成果は画像解析分野のトップジャーナルに再録された。また、物体表面の相互反射や内部散乱といった光学現象の各要素を分離して計測する技術をプロジェクタカメラシステムを用いたリング型照明により実現した。この研究は,新規性、有効性ともに高い評価をうけ,コンピュータビジョンのトップ会議で成果発表する機会を得た。また,ガラス,布,紙など,様々な質感を持つ物体を対象としたデッサン画のデータベース構築を行い,機械学習にもとづくデッサン画の作成において良好な結果を得ている。その他,蛍光指紋にもとづく素材識別では機械学習により識別に最適な光源分布を推定する手法を提案しており,順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
H30年度は,物体表面の相互反射,物体内部での散乱といった複雑な現象を分離して計測できる技術を発展させ、光の伝搬の分離結果を詳細に得ることができた。今後,さらに複雑な物体に対して計測を進め,心理学の研究者との連携により,得られた光学現象の各要素とその要素が導く質感の関係についてのユーザースタディを進め,質感をモデル化し再現できる技術へと発展させことを予定している。デッサン画生成に関しては,鉛筆の濃さによるコントラスト,質感表現に重要と考えられる領域の抽出など,専門家との連携により詳細な解析を進め,成果発表,技術展示を予定している。蛍光発光に基づく素材識別についても最新の機械学習手法を取り入れた頑健な手法へと発展させていく。
|
Research Products
(15 results)