2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Rice Farming and Chinese Civilization : Renovation of Integrated Studies of Rice-based Civilizations. |
Project/Area Number |
15H05966
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
金原 正明 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (10335466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 展也 中部大学, 人文学部, 准教授 (10365497)
鈴木 三男 東北大学, 学術資源研究公開センター, 名誉教授 (80111483)
黒住 耐二 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (80250140)
小畑 弘己 熊本大学, 文学部, 教授 (80274679)
丸山 真史 東海大学, 海洋学部, 講師 (00566961)
菊地 大樹 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員 (00612433)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 古環境変遷 / 新石器時代 / 栽培化 / 農耕化 / 海進 / 水田稲作 |
Outline of Annual Research Achievements |
日程としては、8月5日:打ち合わせ会、8月21日:領域全体会議、10月3日(土)・4日(日):研究発表会、9月12日~9月26日:中国現地調査前期コア期間、2月26日~3月10日:中国現地調査後期コア期間、3月19日・20日:領域全体会議、シンポジウム、打ち合わせと行った。 (1)約6500年前の河姆渡文化期の田螺山遺跡でボーリング試料の分析を行った。出土大型植物遺体の整理、堆積物からの水洗選別を行い、また全体の把握も行う。糞石の試料採取を行い、分析を行った。約7500年前の井頭山遺跡ボーリング試料からは、クヌギ果皮片のみが同定され、やや冷涼な気候が示唆された。約5000年前の良渚文化期の良渚遺跡周辺ではボーリングサンプルの花粉分析、珪藻分析を行い、温暖化による海水準、海進が内陸約100kmの良渚遺跡群の地点まで及んでいたことが明らかとなり、海進の規模が明らかになった(金原正明)、(2)GIS機器の搬入、ソフト、データを整えシステム始動を行い、現地踏査を行った。特にダム関連の現地踏査を行い、微地形の確認を行った(渡部展也)、(3)田螺山遺跡出土木製品を中心に、樹種同定を行い、資料収集を行った(鈴木三男)、(4)良渚遺跡群出土イノシシ/ブタの整理を行い、飼育化の資料情報の収集を行った。累代飼育のような完全飼育ではない可能性も示唆された(菊地大樹、丸山真史)、(5)約8000年前の井頭山遺跡では地下約5mにおいてハイガイなど貝類がまとまって検出され、干潟の環境が示唆され、海進の過程がみられた(黒住 耐二 )、(6)田螺山遺跡を中心に土器圧痕調査調査を行い、イネの圧痕が多いことが判明した(小畑 弘己)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において、初年度と2年度においては、河姆渡文化期と良渚文化期の調査を行う予定になっており、研究は順調に進んでいる。特に(1)遺跡堆積物およびボーリングサンプルの自然遺体分析(花粉分析、種実同定、珪藻分析、寄生虫卵分析、微細遺体片分析、粒度分析)を通した古環境の復元、研究の統括(金原 正明および研究協力者)では、約6500年前の河姆渡文化期は海進途中のやや不安定な環境下の遺跡であり、最海進期後の良渚文化期の遺跡は安定した沖積地に分布していることが判明し、大きな環境立地の変化が明らかになった。(2)地理情報システム(GIS)による基盤空間情報の整備とデータベース構築(渡部 展也)、(3)木製品、木質遺体の整理と使用・植生体系の復元(鈴木 三男)、(4)出土動物遺体の整理とその利用体系の(菊地 大樹、丸山 真史)、(5)貝類遺体の整理と食用体系と水域環境の解析(黒住 耐二 )、(6)土器の圧痕として残る種実・昆虫遺体の同定と生息環境の解析(小畑 弘己)においても、順調に調査分析が行われている。なお、対象資料は極めて多く、当初計画どおり2年間かけて調査およびデータを行う。
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Strategy for Future Research Activity |
現地における試料採取および資料収集は9月と2月~3月の中国調査コア期間において行い、分析は国内において行う。研究成果発表と打ち合わせを前期コア期間に中国で行う。研究会を2回開催する。シンポジウムを企画し、適時全体会議に出席する。 研究代表者と分担者の研究内容予定は以下である。(1)金原正明:良渚遺跡群のダム周辺を中心に、田螺山遺跡周辺でボーリング調査を行い、ダムの機能、環境の変遷を分析する。田螺山遺跡の多量にある出土種実類のデータ化を行い、進行状態により、良渚遺跡群の植物遺体の整理、分析を行う。各分析および堆積物の性質を粒度分析の解析から体系づける。研究協力者によって、ブタおよびヒトの頭蓋骨の3D測量を行い、学術的記録のビジュアル的記録と解析を開始する。本年度、本研究内容において中国考古学会から招待を受けており、5月下旬に研究発表会、検討会に出席し、その期間で浙江省文物考古研究所とのボーリング調査等の打ち合わせを行う。(2)渡部展也:特に良渚遺跡の複数あるダム遺構周辺の基盤空間情報の整備を行う。(3)鈴木三男:田螺山遺跡の多量にある出土木製品を中心に、樹種同定を行い、資料収集を行う。(4)菊地大樹、丸山真史:良渚遺跡群出土イノシシ/ブタの整理を行い、飼育化の資料情報の収集を行い、田螺山遺跡の多量に出土している動物遺存体の整理を開始する。(5)黒住 耐二:発掘調査が行われる予定の井頭山遺跡を中心に整理を行い、また中国における現生貝類の基礎的生息環境調査を行う。(6)土器の圧痕として残る種実・昆虫遺体の同定と生息環境の解析(小畑 弘己):田螺山遺跡、良渚遺跡群の土器圧痕調査を継続する。(7)田螺山遺跡、良渚遺跡の炭化米試料を収集し、次世代シーケンサーによる分析を開始する。
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Research Products
(4 results)