2018 Fiscal Year Annual Research Report
Coordination of chromosome behavior based on the replication of chromosomal 3D structure
Project Area | Chromosome Orchestration System |
Project/Area Number |
15H05975
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
荒木 弘之 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 教授 (20151160)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | DNA複製 / 染色体 / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物染色体DNA複製の開始は細胞周期により厳密に制御されている。特にサイクリン依存性キナーゼCDKによる複製タンパク質のリン酸化は、複製反応の開始を促進するとともに他の細胞周期イベントとの連携に重要である。我々は出芽酵母のSld2タンパク質とSld3タンパク質がCDKによりリン酸化され、Dpb11タンパク質に結合することが、複製反応の開始に必須であることを示している。In vitroの複製系でも、Sld2及びSld3のリン酸化は、複製開始に必須であった。Sld3は11箇所のCDKリン酸化モチーフを持つが、Thr600とSer622のリン酸化が細胞内では複製開始に必須である。しかしin vitroでは、これら部位に非リン酸化型変異を導入しても、またこの部分を除いても、複製が開始することが分かった。このことは、Sld3のリン酸化部位の位置は重要ではなく、Sld3内のどこかの部位がCDKによりリン酸化されればよいことを示している。Thr600とSer622のリン酸化が細胞内で必須な理由は、脱リン酸化酵素が働きにくい等、Dpb11結合とは異なる要因があるものと考えている。 前年度LacIタンパク質がLacO部位に結合すると、結合部位で複製フォークが停止する系を確立した。この系では、複製フォークの先頭で2本鎖DNAを1本鎖にほどくCMGヘリカーゼがDNAポリメラーゼε(Polε)に依存して結合部位で停止する。さらに4つのサブユニットからなるPolεの触媒サブユニットのC末がこの停止に関与することを明らかにした。一方、出芽酵母rDNAでは、この領域に結合するFOB1タンパク質により、複製フォークが方向特異的に停止する。FOB1結合によるヘリカーゼ反応への影響を調べた結果、PolεではなくDbf4依存性キナーゼDDKによるリン酸化が関与している可能性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitro複製系を用いた複製開始機構の解明は順調に進んでおり、この系を用いた複製フォーク停止機構の解明も進みつつある。特に、Sld3リン酸化の細胞内とin vitroでの差異は驚きであり、今後の解析によって大きな発見に繋がる。
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Strategy for Future Research Activity |
Sld3タンパク質のリン酸化の解析を継続することにより、複製開始のCDKによるリン酸化の詳細な機構を目指す。また、Sld3-Sld7複合体の構造の意味(2分子のSld3が2分子のSld7により繋がれている)の解析も進める。さらに、FOB1依存的な複製フォーク停止機構についても解析を進めることにより、フォーク停止の一般的モデルを構築できることを期待している。
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Research Products
(6 results)