2019 Fiscal Year Annual Research Report
A planning study on the multilayered urban fabric in the Western Asia
Project Area | The Essence of Urban Civilization: An Interdisciplinary Study of the Origin and Transformation of Ancient West Asian Cities |
Project/Area Number |
18H05449
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松原 康介 筑波大学, システム情報系, 准教授 (00548084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 周平 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10512246)
谷口 陽子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (40392550)
谷口 守 筑波大学, システム情報系, 教授 (00212043)
山内 和也 帝京大学, 付置研究所, 教授 (70370997)
川本 智史 金沢星稜大学, 教養教育部, 講師 (10748669)
塩谷 哲史 筑波大学, 人文社会系, 助教 (30570197)
杉本 悠子 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (80822957)
田中 暁子 公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所(研究部), 研究部, 主任研究員 (70559814)
田中 英資 福岡女学院大学, 人文学部, 准教授 (00610073)
中島 直人 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30345079)
中野 茂夫 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (00396607)
廣井 悠 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50456141)
藤田 康仁 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (00436718)
守田 正志 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (90532820)
武藤 亜子 独立行政法人国際協力機構(研究所), 研究所, 主任研究員 (20848907)
安田 慎 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (60711653)
柳沢 究 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60368561)
渡邊 祥子 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター中東研究グループ, 研究員 (20720238)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | 都市空間の重層性 / ヘレニズム / レジリエンス / 戦災復興 / 水と庭園 / 新自由主義 / 国際協力 / カッパドキア |
Outline of Annual Research Achievements |
一連の考古学的・歴史学的研究の進捗を踏まえつつ、本研究では、現代的視点から都市文明の本質に光をあてる。都市の形成と変容、破壊と廃棄、再生と持続の結果としての都市空間の重層性のあり方を明らかにする。そこから、人口急増に伴う都市の計画的拡張や、歴史的空間の保全と継承、多様な価値観の共存がもたらすレジリエンス、防災・復興と国際協力といった、広義の都市計画の課題を展望したい。 本年度は、代表者による都市計画史的研究として、ダマスクスを事例に、ヘレニズム期の都市基盤を考古学的・交通工学的な視点から扱った1968年のエコシャール・番匠谷計画に関する基礎的考察行い、仮説提示だけでなく歴史的評価にも踏み込んだ学術論文を執筆した。また関連して、仏語圏における番匠谷の計画思想である「進化型計画論」を解明した。日本の清家清にも遡る、躯体の永遠性と住民自身による増改築の自由性の許容に基づく計画論が、ヘレニズム基盤とイスラーム期以降の増改築へと重ね合わされることで、これまでの都市計画の凍結保存主義を相対化する視点が築かれたといえる。 この他、イスタンブル耐震都市計画やベイルート復興計画における新自由主義の影響、アンタルヤ旧市街における景観保存と観光開発の動き、イスタンブル、アンカラ、ヒヴァといった都市史の諸相、アルジェのビドンヴィルとイスタンブルのゲジェコンドゥとの比較スラム研究、南スペイン・モロッコ・チュニジア等における歴史的水利用といった諸課題に、それぞれ研究の進捗をみた。 更に、トルコ・カッパドキア遺跡の聖シメオン教会(10世紀初頭)を対象に気象ステーション、水分ポテンシャル計、温湿度計等を設置しデータを収集、解析中である。得られた文化財の保全手法は、本研究の成果である技術協力提案のコアの一つとなることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表者による研究によって、シリアの歴史都市における都市計画史研究に対する、当初計画に即した新たな視座が提起されたと考えられること、また、関連する諸課題に進捗がみられること、等を考慮した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの領域全体の報告会での共有知見及び公募研究との連携を考慮し、今後は以下の8課題に具体化し推進する。 ①旧市街の開削道路と空間整備の歴史的評価(基幹的研究)では、重層化の読み込み(ヘレニズム基盤からイスラーム街路へ)を、中東都市多層ベースマップシステムに基づき行う(ベイルート、ダマスクス、アレッポ等)。その上で、交通計画研究、観光ルート、保全協力、政策レビュー等を行う。②新自由主義の都市計画と住民活動の人類学的研究(基幹的研究)では、異なる人々の共生、制度・政策による都市の改編と住民の対応、遺産の保全や観光資源化を巡る価値観の対立や調整について、現地調査から進める。③考古学遺産の位置づけと活用では、文化遺産と市場経済の結びつき、イスラームと文化遺産、複数アクター間のポリティクス等のテーマで進める。 ④文化交流にみる比較都市史研究では、イスタンブールを中心とするオスマン都市史、ヒヴァの灌漑技術史、カフカースの遺構都市史といった諸課題からアプローチする。⑤アルジェリアとトルコのスラム政策-ビドンヴィルとゲジェコンドゥでは、ブルデューの郊外住宅批判を踏まえつつ、両者の比較検討を行う。⑥乾燥地帯の水利技術と庭園文化のデザインでは、スペインの都市灌漑技術を基軸に、トルコ、モロッコ、シリアとの比較研究を試みる。⑦文化遺産の劣化と構成材料に関する理化学的調査(基幹的研究)では、機械分析により劣化状態にあるオリジナルの装飾技術を明らかにする。また、遺産に対するヴァンダリズムの問題を観光活用の観点から分析する。 ⑧日本・東アジア・中央アジア・南アジア・カフカース・ヨーロッパとの地域比較(レビュー的研究)では、都市計画研究の進展と特徴を地域比較から概括する。⑨震災・戦災と都市復興協力の展望(レビュー的研究)では、西アジアの都市の震災・戦災復興のありかたを、国際協力の観点から展望する。
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Research Products
(27 results)