2011 Fiscal Year Annual Research Report
リガンド固定化相と細胞表面で形成されるソフト界面での動的現象の評価と応用
Project Area | Molecular Soft-Interface Science |
Project/Area Number |
20106014
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
山岡 哲二 独立行政法人国立循環器病研究センター, 生体医工学部, 部長 (50243126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬原 淳 独立行政法人国立循環器病研究センター, 生体医工学部, 研究員 (80416221)
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Keywords | 細胞ローリング / 抗体 / 抗CD34抗体 / 幹細胞 / 表面修飾 / 高分子ブラシ / スルホベタイン / リン脂質ポリマー |
Research Abstract |
細胞表面に存在する分子と、血管内腔などの固相表面に配列されたその認識分子とは、1対1では微小な結合力でありながら、多点結合を構成することによって、細胞という大きな物体の界面上での動態を制御する。個々の結合力が小さいことはきわめて重要で、結合の一部が解離して同程度の結合が生じることで、細胞が固相界面を移動することができる。このソフト界面上での細胞ローリング現象によりを、白血球の炎症部位血管内腔への遊走や、損傷血管部位への幹細胞遊走がおこる。本研究では、生体のソフト界面を工学的に再構築して細胞ローリング現象を再現するとともにバイオマテリアルとしての応用につなげることを目的としている。これまでに、抗CD34抗体を用いて骨髄由来間葉系幹細胞のローリング再現に成功し、分化能の異なる細胞群分離に成功した。さらに、(1)両親媒性ベタインブラシ構造、および、(2)リン脂質ポリマーを親水成分とするブロック共重合体コーティング層によって、非特異的吸着の抑制と、90%以上の細胞回収率を達成した。本年度は、もう一つの問題である、細胞ローリングのスタート位置の制御を試みた。細胞ローリング速度が細胞特性と密に関与する一方で、カラム中に注入された細胞の一部は界面と相互作用するまでにある距離を流れ、分離特性を大きく低下させる。上述の非特異吸着の低減は細胞の固着(静止)の抑止を可能としたので、マイクロ流路デバイス技術を導入し、スタートゲートを完成させた。本システムにより、幹細胞の神経細胞分化特性分離を開始した。また、このような細胞ローリング現象の応用として、これらの幹細胞を特異的に吸着するソフト界面を人工血管内に構築する試みを始め、小口径血管の開存性向上を図る計画である。
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Research Products
(19 results)